CGコード改訂、「人的資本投資」を取締役会の責務に ─ 2026年改訂案の全貌
2026-04-03
2026年4月3日、金融庁と東京証券取引所は「コーポレートガバナンス・コードの改訂に関する有識者会議」第3回にて改訂案を公表した。2015年の策定、2018年・2021年の改訂に続く3回目の改訂は「成長投資の促進」を旗印に掲げ、取締役会の責務として人的資本投資を含む経営資源配分の説明責任を明記した。DB収録451社の人的資本データとともに、改訂案の全体像を一次ソースに基づき分析する。
CGコード改訂案の主要テーマ
金融庁・東京証券取引所(2026年4月3日)
1. 改訂の全体像 ─ なぜいま「成長投資」なのか
2013年6月の「日本再興戦略」閣議決定以降、日本のコーポレートガバナンス改革は成長戦略の一環として推進されてきた。CGコードは2015年の適用開始から10年超を経て、形式的対応にとどまるケースも指摘されるなか、今回の改訂は「コードの実質化」を旗印に3つの柱で構成される。
改訂案の3本柱
| 柱 | 主な改訂内容 | 関連原則 |
|---|---|---|
| 成長投資の促進 | 人的資本・知的財産等への投資を取締役会の説明責任に明記 | 原則4-1, 4-2 |
| 取締役会の機能強化 | 独立社外取締役の過半数化に言及、セクレタリー機能 | 原則4-8, 4-11 |
| 有報の株主総会前開示 | 3週間以上前の提出が望ましい旨を解釈指針に明記 | 原則1-2 |
改訂案の序文では、コーポレートガバナンスを「上場会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」と再定義した。現行コードの「会社が」から「上場会社が」への変更は対象の明確化を意図している。
CGコード改訂の経緯
| 時期 | 内容 | 主な変更点 |
|---|---|---|
| 2014年2月 | スチュワードシップ・コード策定 | 機関投資家の行動原則 |
| 2015年6月 | CGコード適用開始 | 73原則(基本原則5・原則30・補充原則38) |
| 2018年6月 | 第1回改訂 | 政策保有株式の縮減強化、CEOの選解任手続 |
| 2021年6月 | 第2回改訂 | プライム市場の要件新設、サステナビリティ・多様性規定追加 |
| 2026年(予定) | 第3回改訂案 | 成長投資の促進(人的資本明記)、取締役会の機能強化、有報の株主総会前開示 |
2. プリンシプル化 ─ コードの構造はどう変わったか
改訂案の構造的な変更は「プリンシプル化」「スリム化」の2つに集約される。
第一に、コンプライ・オア・エクスプレインの対象となる原則を抽象的かつ概念的なものに限定し、各原則の実効的な実施を支援する**「解釈指針」を新設**した。解釈指針はコードの一部をなすが、コンプライ・オア・エクスプレインの対象ではない。
第二に、法令等との重複がある箇所を削除・整理した。ただし「スリム化」は対応コスト軽減だけを意図したものではなく、移管・削除された記載について重要性が失われたと考えることは適切ではないと明記されている。
エクスプレインの質についても踏み込んでおり、「ひな型」的な表現による表層的な説明はコードの趣旨に反するとし、**「丁寧なエクスプレイン」**が明確に求められている。
改訂案の構造変更
| 項目 | 現行コード | 改訂案 |
|---|---|---|
| 章構成 | 5章(第5章: 株主との対話) | 4章(第5章を第1章に統合) |
| 原則の性質 | 補充原則に具体策を記載 | 原則は抽象的、解釈指針に具体策 |
| 新設要素 | なし | 解釈指針(ベストプラクティスを含む) |
| 重複排除 | 法令との重複あり | 法令と重複する箇所を削除・整理 |
| エクスプレインの質 | 明示的な言及なし | 「丁寧なエクスプレイン」を明確に要求 |
現行コード → 改訂案
削除・移管された原則
プリンシプル化の一環として、複数の原則が削除・移管された。現行5章「株主との対話」は第1章に統合され、サステナビリティ規定(現行2-3・2-3①)は新設する原則4-5に再編された。
主な削除・移管
| 現行原則 | 変更 | 理由 |
|---|---|---|
| 補充原則1-1②(議案委任) | 削除 | 実務上浸透済み |
| 原則1-3(資本政策方針) | 解釈指針に移管 | 基本原則1の前提規定 |
| 補充原則1-5①(公開買付け対応) | 削除 | 金商法・上場規程との重複 |
| 原則1-6(希釈化的資本政策) | 削除 | 上場規程との重複 |
| 原則1-7(関連当事者間取引) | 原則4-3に統合 | コード内統合 |
| 原則2-2(行動準則) | 解釈指針に移管 | 基本原則2の具体策 |
| 原則2-3・2-3①(サステナビリティ) | 新設4-5に統合 | 取締役会の責務として再編 |
原則1-5(買収防衛策)は内容を維持しつつ上場規程との重複が整理された。補充原則1-1②は「実務上浸透済み」の理由で削除、1-5①は金商法との重複により削除、1-6も同様。原則1-7は原則4-3に統合、行動準則(2-2)は基本原則2の解釈指針に移管された。
3. 成長投資の促進 ─ 人的資本が取締役会の説明責任に
改訂原則4-1では、取締役会の役割として**「成長投資(設備・研究開発・人的資本・知的財産等の無形資産への投資等)や事業ポートフォリオの見直し等の経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて説明を行う」**ことが明記された。現行コードの抽象的な「経営戦略等の大きな方向性」から、人的資本投資が取締役会レベルの説明対象に格上げされた意義は大きい。
解釈指針では投資先の検討として3つの観点が示されている。(i) 投資対象を自社内部に求めるか(設備・研究開発・人的資本等)外部に求めるか(M&A等)、(ii) 短期・中長期の時間軸、(iii) 国内投資(地方への人的投資等)・国外投資。キャピタルアロケーションの開示については、原則の趣旨を踏まえた実質的な説明が重要とされる。
原則4-2の解釈指針でも「現預金等の金融資産や実物資産等の経営資源を成長投資等に有効活用できているか」の不断の検証が求められている。中期経営計画は株主に対するコミットメントの一つとして、目標未達時の原因分析と説明責任が規定された。
改訂が求める「人的資本への投資」は、企業間で大きな差がある。一人当たり年間研修時間を見ると、電通総研が73.9時間と突出し、JR西日本62.0時間、ZOZO 39時間が続く。三井不動産32.2時間、伊藤忠商事31.0時間、オリックス24.0時間と、業種により投資量に約3倍の差が生じている。
投資の成果指標として離職率を見ると、三井不動産1.31%、電通総研2.1%と、研修投資の厚い企業で人材定着率が高い傾向がある。大和証券3.8%、ZOZO 4.5%と比較すると、人的資本投資と人材定着の間に相関が見られる。改訂案が「人的資本投資」を取締役会の説明責任に含めた背景には、こうした投資とリターンの関係を意識した開示の高度化がある。
4. 取締役会改革 ─ 独立社外取締役と多様性
独立社外取締役の過半数化への布石
改訂原則4-8では、プライム市場上場会社について3分の1以上を維持しつつ、「過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考える」場合は十分な人数の選任が規定された。将来的な方向性として「過半数が選任されるべきとの指摘がある」ことが参考資料に明記されている。
独立社外取締役の期待される役割は4つに整理されている。(i) 経営方針・改善への助言、(ii) 重要な意思決定を通じた経営の監督、(iii) 利益相反の監督、(iv) 少数株主をはじめとするステークホルダーの意見の反映。独立社外者のみの会合の定期開催や「筆頭独立社外取締役」の選定も規定された。
取締役会の実効性を支える体制として、コーポレートセクレタリー等の事務局機能の強化が追記された。
取締役会構成の多様性と企業の現状
原則4-11では、取締役会は「ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべき」と規定された。指名・報酬委員会についても、プライム市場上場会社は独立社外取締役過半数とし、ジェンダー等の多様性やスキルの観点を含める方針が規定された。
DB収録企業の女性取締役比率を見ると、大和証券グループ50.0%が改訂案の言及する「過半数」に匹敵する水準にある。電通総研44%、イオン33.3%は3分の1を超え、ZOZO 45.5%も3分の1に迫る。一方、三井不動産23%、伊藤忠商事20%、JR西日本20%は3分の1基準に未到達であり、業種による構造的な差が大きい。
主要企業の女性取締役比率
| 企業 | 業種 | 女性取締役比率 | 改訂案基準との関係 |
|---|---|---|---|
| 大和証券 | 金融 | 50.0% | 過半数水準 |
| 電通総研 | IT | 44% | 1/3超 |
| イオン | 小売 | 33.3% | 1/3超 |
| ZOZO | IT | 45.5% | 1/3超 |
| 三井不動産 | 不動産 | 23% | 1/3未達 |
| 伊藤忠商事 | 商社 | 20% | 1/3未達 |
| JR西日本 | インフラ | 20% | 1/3未達 |
DB収録企業の最新データ
CEO後継者計画の策定・運用への取締役会の主体的関与、CEO解任手続の確立、監査役の能動的・積極的な権限行使も規定された。
5. 多様性・人的資本指標の現在地
多様性確保の原則格上げ(原則2-4)
改訂原則2-4は、現行の補充原則2-4①を原則に格上げした。ジェンダーや国際性、経歴、年齢、文化的背景等から、多様性確保の考え方と自主的かつ測定可能な目標の決定・開示が求められている。解釈指針では、社内の多様な視点は「イノベーションや新しい価値創造の源泉であり、会社の変革や持続的な成長を確保する上での強みとなり得る」と位置づけられた。人材育成方針と社内環境整備方針の開示も原則に格上げされている。
「測定可能な目標」の現在地を見ると、女性管理職比率ではイオン28.4%、ZOZO 24.2%、大和証券20%と業種を問わず20%超の企業がある一方、三井不動産10%にとどまる企業もあり、業種特性による差が大きい。
男性育休取得 ─ 働き方改革の指標
多様性確保の具体的指標として、男性育児休業取得率にも注目が集まる。オリックス116%と分割取得等により100%を超える企業もある。大和証券103.0%、電通総研100.0%、三井不動産100.0%、伊藤忠商事100%と、先進企業では100%が定着しつつある。イオン82.5%、JR西日本72.0%、ZOZO 70.5%と、業種・企業規模による差は依然として存在する。育児・介護休業法 2025年改正と男性育休も参照。
主要企業の多様性・人的資本指標
| 企業 | 女性管理職比率 | 男性育休取得率 | 研修時間/年 | 障がい者雇用率 |
|---|---|---|---|---|
| 大和証券 | 20% | 103.0% | — | 2.62% |
| ZOZO | 24.2% | 70.5% | 39時間 | 3.35% |
| 電通総研 | — | 100.0% | 73.9時間 | 2.54% |
| イオン | 28.4% | 82.5% | — | 3.05% |
| 三井不動産 | 10% | 100.0% | 32.2時間 | 2.74% |
| 伊藤忠商事 | 25% | 100% | 31.0時間 | 2.42% |
| オリックス | — | 116% | 24.0時間 | 2.61% |
| JR西日本 | — | 72.0% | 62.0時間 | — |
DB収録企業の最新データ
女性管理職比率
女性管理職比率が高い企業 · 2024年度 · 451社中5社掲載
原則2-4の格上げにより、多様性の「測定可能な目標」設定が求められる。女性管理職比率は取締役パイプラインの充実度を示す先行指標。
ファーストリテイリング
女性管理職比率(2024年8月期)
FAST RETAILING Integrated Report 2024 p.68
ダイバーシティ推進チームが中心となり、従業員満足度調査で課題を把握。ライフステージに合わせた働き方やキャリア形成支援、人事制度の改革、メンターサポートを推進し、2024年8月期の女性管理職比率は46.1%と前期比1.4ポイント上昇。
アシックス
女性管理職比率(2024年度実績)
統合報告書 2024年度 p.78
グローバル全体で2022年に女性管理職比率38.3%を達成し、50%到達に向けシニアマネジャーの女性比率を高める行動計画を策定中。管理職対象のアンコンシャスバイアス研修を実施し、インドネシアでは全従業員向けキャリア開発ワークショップでD&Iを開始。
女性取締役比率
女性取締役比率が高い企業(取締役会メンバー) · 2025年度 · 261社中5社掲載
改訂CGコードでは独立社外取締役の過半数化に言及し、取締役会の多様性確保が原則に格上げされた。女性取締役比率は改訂案が求める水準への到達度を示す。
メルカリ
取締役に占める女性の割合
Impact Report FY2025.6 p.5
ジェンダーバランスに配慮し、指名委員会が原則として女性候補者を含めて選定。FY2025.6は取締役における女性比率が増加した。
ニトリホールディングス
取締役会女性取締役比率
NITORI HOLDINGS 統合報告書 2025 p.32
2040年までに女性管理職比率40%を目標に掲げ、女性管理職ポスト拡大や多様な働き方支援制度を推進。2025年3月に厚生労働省「えるぼし認定(3段階目)」を取得。取締役10名中女性2名。
大和証券グループ本社
取締役の女性比率(2024年6月時点)
統合報告書 2025年度 p.4
取締役会全体の多様性確保を重視し、取締役に占める女性比率を原則30%以上と定めている。2024年度末時点で取締役14名中女性7名(うち社内3名)、女性取締役比率50.0%。
障がい者雇用とグローバル多様性
改訂案が多様性の範囲を「ジェンダーや国際性、経歴、年齢、文化的背景やこれらに限られない観点」と広く定義した点は、障がい者雇用を含む包括的な多様性経営を促す。障がい者雇用率では、ZOZO 3.35%、イオン3.05%と法定雇用率(2.5%)を大幅に上回る企業がある。三井不動産2.74%、大和証券2.62%、オリックス2.61%、電通総研2.54%も法定基準をクリアする一方、伊藤忠商事は2.42%と法定雇用率を下回る。
「国際性」の観点では、オリックスの海外従業員比率23%、イオン9.2%が確認できるが、多くの企業でこの指標の開示自体が進んでいない。
ステークホルダー協働とサステナビリティの統合
基本原則2の解釈指針では、「人的資本への投資等や適切な分配」と「サプライチェーンにおける適正な価格転嫁」がステークホルダーとの協働の具体例として追加された。
サステナビリティに関する規定は新設する原則4-5及びその解釈指針に統合・整理された。補充原則3-1③では「人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供する」方針が規定された。ひな型的な記述を避け付加価値の高い記載とする方針、プライム市場での英語開示推進も含まれる。
6. 有報の株主総会前開示と株主対話
有報の3週間前開示
改訂原則1-2では、株主総会における権利行使に関する4つの要素が統合された。(1) 有報の株主総会開催日前提出(格上げ)、(2) 情報の適確な提供、(3) 株主総会関連日程の適切な設定、(4) プライム市場での議決権電子行使プラットフォーム利用(格上げ)。
解釈指針では、有報は**「株主総会開催日の3週間以上前に提出されることが最も望ましく、選択肢として株主総会の開催時期の後ろ倒しも含めて検討する」**ことが示されている。有報には役員報酬や政策保有株式等のガバナンス情報が含まれ、投資家の意思決定に有用とされる。招集通知に関しても、取締役会決議から発送までの間にTDnet等で電子的に公表する方針が解釈指針に記載された。
株主対話の第1章への統合
現行5章「株主との対話」が第1章に統合された。基本原則1に「株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行う」旨が追加された。
原則1-1では対話方針の3項目(前向きな対応と方針開示、社外取締役を含む対応者の参加、対話に基づく社内共有)が規定された。面談の議題によっては社外取締役が対話の対応者となるべき場面があることも追記されている。
その他の改訂点
少数株主保護に関しては、構造的な利益相反・情報の非対称性が基本原則1の解釈指針に明記された。総会議案への相当数の反対があった場合の分析・対応も新設原則1-3に規定された。政策保有株式の縮減方針開示・保有適否検証は原則に維持・強化された。
内部通報については、現行2-5を原則2-3に統合し、経営陣から独立した窓口の設置と情報提供者の秘匿・不利益取扱禁止の規律が示されている。外部会計監査人に関しては、監査役会による候補者選定基準の策定・独立性確認等が規定された。
原則4-4の解釈指針では、サイバーセキュリティリスク、地政学的要因によるサプライチェーン途絶リスク、技術等の情報流出リスクへの対応が新たに追記された。
7. 適用スケジュール
上場会社は遅くとも2027年7月までに改訂コードに関するコーポレートガバナンス報告書の提出が見込まれる。
主な補充原則→原則格上げ
| 改訂後の原則 | 内容 | 現行コードの位置 |
|---|---|---|
| 原則1-2 | 有報の株主総会前開示・電子議決権行使 | 補充原則1-2①④等 |
| 原則1-3(新設) | 総会議案への相当数反対時の分析・対応 | 補充原則1-1① |
| 原則2-4 | 多様性目標・人材育成方針の開示 | 補充原則2-4① |
一次ソース
▶出典(23件)
- ステークホルダー協働の文脈で人的資本投資・適正な価格転嫁を明記(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.15)
- サプライチェーンの適正な価格転嫁、地域社会への投資の意義を明記(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.15)
- 原則2-3(サステナビリティ課題)→新設4-5に統合・整理(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.17)
- サステナビリティ規定を新設4-5に統合、人的資本投資の重要性を明記(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.17)
- 補充原則3-1③:サステナビリティ・人的資本・知的財産の開示義務(TCFD含む)(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.12)
- 補充原則3-1①:ひな型的記述・具体性を欠く記述を避け付加価値の高い記載を(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.12)
- 補充原則3-1②:プライム市場は英語での情報開示を行うべき(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.12)
- 原則1-2に株主総会の権利行使環境の4要素を統合(有報の株総前提出含む)(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.8)
- 議決権電子行使プラットフォームをプライム市場で原則化(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.10)
- 有報は株総3週間以上前提出が最も望ましい。株総の後ろ倒しも選択肢(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.8)
- 有報の株主総会前開示を原則に明記(3週間以上前が望ましい)(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.10)
- 招集通知のTDnet電子公表、議決権電子行使環境・英訳の整備(解釈指針に移管)(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.9)
- 第5章「株主との対話」を第1章に統合(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.7)
- 基本原則1に「株主との対話」を追加(現行基本原則5を統合)(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.5)
- 株主対話原則1-1:対話方針の開示・社外取締役参加・対話内容の社内共有(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.7)
- 社外取締役が株主対話の対応者となるべき場面を明記(新規追加)(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.9)
- 少数株主保護の強化:利益相反・MBO・関連当事者取引の検討観点を明記(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.6)
- 可決議案への相当数反対時の分析・対応義務を原則に新設(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.12)
- 政策保有株式の縮減方針開示・保有適否検証を原則に格上げ(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.9)
- 内部通報の体制整備・監督:独立窓口設置、情報提供者保護(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.12)
- 原則3-2:外部会計監査人の監査品質確保のための6要件(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.13)
- リスク管理にサイバーセキュリティ・地政学リスク・情報流出リスクを追加(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.19)
- 改訂CGコードの適用期限:2027年7月(成長投資の促進に向けたコーポレートガバナンス・コードの改訂について(案), p.4)
使用データ一覧
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
ステークホルダー協働の文脈で人的資本投資・適正な価格転嫁を明記 | 2026年 | 改訂基本原則2の解釈指針(考え方)では、「上場会社は、人的資本への投資等や適切な分配を行い、取引と公正・適正な取引(サプライチェーンにおける適正な価格転嫁を含む)を行うなど、これらのステークホルダーと適切に協働することにより初めて、自らの持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を達成することができる」と明記。ステークホルダーとの協働における人的資本投資の位置づけを明確化した。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.15 |
サプライチェーンの適正な価格転嫁、地域社会への投資の意義を明記 | 2026年 | 改訂基本原則2の解釈指針では、「取引と公正・適正な取引(サプライチェーンにおける適正な価格転嫁を含む)を行う」ことをステークホルダーとの適切な協働の具体例として追加。また「地域社会に資する投資を行うことも、中長期的な企業価値の向上につながる場合には、会社の存続・活動の基盤をなす主体を活性化するという意味において重要」との趣旨を明確化。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.15 |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
原則2-3(サステナビリティ課題)→新設4-5に統合・整理 | 2026年 | 現行原則2-3「社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題」は削除。「抽象的な内容であり、これを独立して現行第2章に存置する必要性は低く、また、本原則の具体的な方策を含む現行2-3①は取締役会の責務を規定するものであることから、現行2-3①と併せて、サステナビリティに関する規定(現行2-3・現行2-3①・現行3-1③前段の一部・現行4-2②前段)を新設する4-5及びその解釈指針にて統合・整理」。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.17 |
サステナビリティ規定を新設4-5に統合、人的資本投資の重要性を明記 | 2026年 | 改訂案では、サステナビリティに関する規定を統合・整理。現行の原則2-3「社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題」、補充原則2-3①、原則3-1③前段の一部、現行4-2②前段を新設する原則4-5及びその解釈指針にて統合・整理。「人的資本への投資等の重要性に鑑み」基本的な方針を策定すべきとし、経営資源の配分や事業ポートフォリオに関する戦略の実行が企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督すべきとした。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.17 |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
補充原則3-1③:サステナビリティ・人的資本・知的財産の開示義務(TCFD含む) | 2026年 | 改訂補充原則3-1③では、経営戦略の開示に当たって「自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべき」とした上で、「人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべき」と規定。特にプライム市場上場会社は気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきとした。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.12 |
補充原則3-1①:ひな型的記述・具体性を欠く記述を避け付加価値の高い記載を | 2026年 | 改訂補充原則3-1①では、上記の情報の開示(法令に基づく開示を含む)に当たって、取締役会は、「ひな型的な記述や具体性を欠く記述を避け、利用者にとって付加価値の高い記載とするようにすべき」と規定。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.12 |
補充原則3-1②:プライム市場は英語での情報開示を行うべき | 2026年 | 改訂補充原則3-1②では、上場会社は、自社の株主における海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲において英語での情報の開示・提供を進めるべきとした。特にプライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について英語での開示・提供を行うべきとした。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.12 |
原則1-2に株主総会の権利行使環境の4要素を統合(有報の株総前提出含む) | 2026年 | 改訂原則1-2では、株主総会における権利行使に関する4つの要素を統合。(1)有価証券報告書を株主総会開催日前に提出すること(追加・格上げ)、(2)株主が適切な判断を行うことに資する情報を適確に提供すること(追加・格上げ)、(3)株主総会開催日や議決権行使に係る基準日をはじめとする株主総会関連の日程を適切に設定すること(格上げ)、(4)プライム市場上場会社は少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とすること(格上げ)。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.8 |
有報は株総3週間以上前提出が最も望ましい。株総の後ろ倒しも選択肢 | 2026年 | 原則1-2の解釈指針では、有報の株主総会前開示に関して具体的に記載。(i)有報を株主総会開催日前に提出する上場会社は増加傾向にあるものの、有報には役員報酬や政策保有株式等のガバナンス情報等、投資家がその意思を決定するに当たって有用かつ信頼性の高い情報が豊富に含まれていることから、本来、株主総会開催日の3週間以上前に提出されることが最も望ましい。選択肢として株主総会の開催時期の後ろ倒しも含めて検討することが考えられる。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.8 |
有報の株主総会前開示を原則に明記(3週間以上前が望ましい) | 2026年 | 改訂原則1-2では、有価証券報告書を株主総会開催日前に提出することが、株主総会における権利行使に係る適切な環境整備の重要な例として新たに明記された。解釈指針では「有価証券報告書は株主総会開催日の3週間以上前に提出されることが最も望ましく、選択肢として株主総会の開催時期の後ろ倒しも含めて検討する」ことが考えられるとしている。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.10 |
招集通知のTDnet電子公表、議決権電子行使環境・英訳の整備(解釈指針に移管) | 2026年 | 原則1-2の解釈指針では、(ii)株主が総会議案の十分な検討期間を確保できるよう、招集通知に記載する情報を、株主総会の招集に係る取締役会決議から招集通知を発送するまでの間に、TDnetや自社のウェブサイトにおいて電子的に公表すべき、(iii)自社の株主における機関投資家や海外投資家の比率等も踏まえ、議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳を進めるべき、と記載。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.9 |
原則3-2:外部会計監査人の監査品質確保のための6要件 | 2026年 | 改訂原則3-2「外部会計監査人」では、外部会計監査人及び上場会社は、外部会計監査人が株主・投資家に対して責務を負っていることを認識し、適正な監査の確保に向けて適切な対応を行うべきとした。監査役会は少なくとも(i)外部会計監査人候補の適切な選定と評価基準の策定、(ii)独立性と専門性の確認、を行うべき。取締役会及び監査役会は少なくとも(i)十分な監査時間の確保、(ii)CEO・CFO等へのアクセス確保、(iii)外部会計監査人と監査役・内部監査部門や社外取締役との十分な連携、(iv)不正発見・不備指摘時の会社側の対応体制確立を行うべきとした。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.13 |
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議決権電子行使プラットフォームをプライム市場で原則化 | 2026年 | 改訂原則1-2では、株主総会における権利行使の環境整備として「プライム市場上場会社は、少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とする」ことを原則に格上げ。現行の補充原則1-2④後段からの格上げ。有価証券報告書の株主総会前開示、株主総会関連日程の適切な設定と合わせて、権利行使に係る適切な環境整備を原則レベルで規定。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.10 |
基本原則1に「株主との対話」を追加(現行基本原則5を統合) | 2026年 | 改訂基本原則1は「株主の権利・平等性の確保」に「株主との対話」を追加。「上場会社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである」を新設。現行基本原則5前段を統合。少数株主や外国人株主への配慮義務も明記。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.5 |
少数株主保護の強化:利益相反・MBO・関連当事者取引の検討観点を明記 | 2026年 | 改訂基本原則1の解釈指針では少数株主保護を強化。「少数株主と経営陣・支配株主との間には構造的に利益相反や情報の非対称性の問題がある」とし、(i)買収への対応方針・対抗措置の発動は経営陣・取締役会の保身を目的としないか、(ii)支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資本政策(増資、MBO等を含む)は既存株主を不当に害するものでないか、(iii)関連当事者間の取引は会社や株主共同の利益を害するものでないか等の観点から検討すべきとした。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.6 |
可決議案への相当数反対時の分析・対応義務を原則に新設 | 2026年 | 改訂原則1-3「株主総会で相当数の反対があった会社提案議案」を新設。取締役会は、株主総会において可決には至ったものの相当数の反対票が投じられた会社提案議案があったと認めるときは、反対の理由や反対票が多くなった原因の分析を行い、株主の権利の確保に資するよう適切に対応すべきである、と規定。現行の補充原則1-1①から原則に格上げ。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.12 |
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第5章「株主との対話」を第1章に統合 | 2026年 | 改訂案では、現行コードの第5章「株主との対話」を第1章「株主の権利・平等性の確保」に統合し、「株主の権利・平等性の確保、株主との対話」と改題。株主との対話の重要性に鑑み冒頭の章に統合・整理することで、上場会社にとっての株主対話の位置づけを明確化した。基本原則1にも「上場会社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである」を追加。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.7 |
株主対話原則1-1:対話方針の開示・社外取締役参加・対話内容の社内共有 | 2026年 | 改訂原則1-1「株主との建設的な対話」は3項目で構成。(1)上場会社は、株主からの対話の申込みに対しては、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で前向きに対応すべき。取締役会は対話促進の体制整備・取組みに関する方針を検討・承認し、開示すべき。(2)株主との対話には、株主の希望と面談の主な議題も踏まえた上で、合理的な範囲で、経営陣、社外取締役を含む取締役または監査役が臨むことを基本とすべき。(3)株主と行った対話の内容を踏まえ、必要に応じて社内で情報共有や検討を行うなど、適切に対応すべき。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.7 |
社外取締役が株主対話の対応者となるべき場面を明記(新規追加) | 2026年 | 改訂原則1-1の解釈指針に「社外取締役を含めた対話の対応者について追記」。面談の主な議題によっては社外取締役が対話の対応者となるべき場面があることを認識した上で、株主との対話を建設的なものとする観点から、株主の希望と対話の主な議題を踏まえ、対話ごとに適切な対応者を選定すべきとした。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.9 |
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政策保有株式の縮減方針開示・保有適否検証を原則に格上げ | 2026年 | 改訂原則1-4「政策保有株式」は、現行コードの内容を維持しつつ原則に格上げ。上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針を開示すべきとした。また毎年、取締役会で個別の政策保有株式について保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに検証の内容を開示すべきとした。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.9 |
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内部通報の体制整備・監督:独立窓口設置、情報提供者保護 | 2026年 | 改訂原則2-3「内部通報」(改訂案では2-5を統合)は、現行2-5(改訂案2-3)の解釈指針「適切な体制整備」「運用状況の監督」を実践するための観点を含むことから、現行2-5(改訂案2-3)の補助的な位置づけ。上場会社は、内部通報に係る適切な体制整備を行い、取締役会は、その運用状況を監督すべきである。解釈指針では経営陣から独立した窓口の設置と、情報提供者の秘匿と不利益取扱の禁止に関する規律を整備すべきとした。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.12 |
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リスク管理にサイバーセキュリティ・地政学リスク・情報流出リスクを追加 | 2026年 | 改訂原則4-3②(改訂案4-4)の解釈指針では、内部統制や全社的リスク管理体制の整備に関し、「サイバーセキュリティリスク、国際的な経済安全保障を巡る環境変化等の地政学的要因によるサプライチェーン途絶リスク及び技術等の情報流出リスクへの対応等も、収益機会にもつながり得るものとして、リスク管理体制を整備する際の考慮事項に含まれ得る」と新たに追記。 | コーポレートガバナンス・コード(改訂案) p.19 |
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改訂CGコードの適用期限:2027年7月 | 2026年 | 上場会社は、遅くとも2027年7月までに、改訂コードに関する事項についてコーポレートガバナンス報告書を提出するよう求めることが考えられる。提出時期の詳細は東京証券取引所において具体的に検討を行う。 | 成長投資の促進に向けたコーポレートガバナンス・コードの改訂について(案) p.4 |
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