女性活躍推進法2026年改正 ─ 賃金差異・管理職比率の公表義務を徹底解説
2026年4月1日、女性活躍推進法の大幅改正が施行される。男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務が101人以上の企業に拡大され、日本企業の大多数が対象となる。mvv.jpが収録する85社の企業データとともに、改正の全容・計算方法・企業の対応策を解説する。
1. 改正の全体像 ─ 2026年4月に何が変わるのか
2026年4月1日、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)の改正が施行される。この改正は、法律の有効期限を令和18年(2036年)3月31日まで10年延長するとともに、これまで301人以上の企業に限定されていた情報公表義務の対象を101人以上の企業に拡大する大規模な改定だ。
特に注目すべきは、これまで大企業のみが対象だった「男女間賃金差異」の公表義務が、中堅・中小企業にも拡大される点だ。従来の301人超の企業に加え、101人以上300人以下の企業においても、男女の賃金格差を数値として公表することが法的義務となる。日本企業の雇用構造を根本から変えうるインパクトを持つ改正といえる。
改正前後の比較[REF:women_empowerment_2026_law_extension]
女性活躍推進法 改正前後の比較
2026年4月1日施行 ─ 対象企業規模・義務内容の変更
| 義務の種類 | 改正前(〜2026年3月) | 改正後(2026年4月〜) |
|---|---|---|
| 行動計画策定・届出・公表 | 101人以上の企業が対象 | 変更なし(継続) |
| 男女間賃金差異の公表 | 301人以上の企業のみ | 101人以上の企業に拡大(新規追加) |
| 女性管理職比率の公表 | 301人以上:賃金差異に加えて2項目以上を公表 / 101〜300人:1項目以上を公表 | 301人以上:賃金差異及び女性管理職比率に加えて2項目以上 / 101〜300人:賃金差異及び女性管理職比率に加えて1項目以上 |
| プラチナえるぼし認定 | 既存要件のみ | 新要件追加(就活セクハラ防止措置の公表)※施行日は別途政令で規定 |
| カスタマーハラスメント防止措置 | 努力義務 | 義務化 ※施行日は公布後1年6か月以内に政令で規定(2026年4月1日ではない) |
| 法律の有効期限 | 令和8(2026)年3月31日 | 令和18(2036)年3月31日に延長 |
出所: 厚生労働省「令和6年女性活躍推進法等の改正について」(https://www.mhlw.go.jp/content/001502758.pdf)
法律の有効期限 → 令和18年(2036年)3月31日まで
厚生労働省
2. 改正の背景 ─ なぜ今、情報公表義務が拡大されるのか
女性活躍推進法は2015年に成立し、2016年4月に施行された。当初の有効期限は10年とされており、2026年3月末に期限を迎えることになっていた。今回の改正は、その有効期限を更新しつつ、制度をより実効性あるものへと進化させる機会として位置づけられている。
法施行から10年が経過しても、日本におけるジェンダーギャップは依然として深刻だ。特に「経済参加と機会」の分野では、女性管理職比率と賃金格差が課題として際立っている。
こうした状況を変えるための施策として、政府は「情報公表の義務化」という手法を選択した。公表義務化によって、企業は自社の数値を可視化し、他社と比較される状況に置かれる。そのプレッシャーが行動変容を促すという考え方だ。
なぜ「101人以上」なのか
女性活躍推進法の対象企業規模は、2016年施行時から「301人以上」が基本だった。その後2022年の改正で行動計画の策定義務が「101人以上」に拡大された経緯がある。今回の改正は、この行動計画義務の対象と情報公表義務の対象を一致させ、制度の整合性を図る意味合いもある。
この規模の企業群が男女賃金差異・女性管理職比率を開示することで、日本のジェンダー平等の実態がより正確に把握できるようになる。
女性の健康課題による経済損失
プレゼンティーズム・キャリア断絶による労働損失等を含む
BCG試算(令和5年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業)
女性の健康課題による経済損失は年間3.4兆円と試算されており、女性活躍推進は企業の生産性と社会の持続可能性に直結する。
3. 3つの義務化項目の詳細解説
2026年4月の改正で新たに義務化・拡大される主要3項目を詳しく解説する。
男女間賃金差異の公表義務(101人以上に拡大)
男女間賃金差異とは、女性の平均賃金を男性の平均賃金で割った割合(%)であり、100%未満の場合は女性の賃金が男性より低いことを示す。開示は「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分で行う必要がある。101人以上300人以下の企業にとって、これは実質的に初めての「賃金格差の数値化と公開」を意味する。
女性管理職比率の公表義務(101人以上に拡大・301人以上は追加義務)
改正前も301人以上の企業は、8つの情報公表項目から一定数を選択して公表する義務があった。改正後は、女性管理職比率が選択肢から必須項目へ格上げされる。101人以上300人以下の企業は、これまで情報公表義務の対象外だったが、改正により女性管理職比率の開示が新たに義務化される。
行動計画の策定・届出・公表(101人以上で継続)
行動計画の策定義務は2022年の改正から101人以上の企業に課されており、今回の改正でも継続される。ただし、男女賃金差異・女性管理職比率の数値開示義務が追加されることで、「目標(行動計画)」と「実績(賃金差異・管理職比率)」の両方が揃う形になる。
男女間賃金差異の3区分
男女間賃金差異 ─ 開示の3区分
各区分の定義と集計対象
| 区分 | 集計対象 | 重要性 |
|---|---|---|
| 全労働者 | 正規・非正規を含むすべての労働者 | 法人全体のジェンダー平等の総括 |
| 正規雇用労働者 | 正社員・契約社員(正規雇用のみ) | 職種・職位の構成を反映した本質的な格差 |
| 非正規雇用労働者 | パート・アルバイト・派遣労働者 | 非正規雇用の処遇格差を可視化 |
管理職の定義
女性活躍推進法における「管理職」は、課長相当職以上(事業主の指揮命令を受けずに、部門全体を統括する職位)を指す。労働基準法41条の「管理監督者」とは異なる概念であり、より広い範囲をカバーする点に注意が必要だ。
301人以上企業の情報公表義務(改正後)─ 賃金差異+管理職比率+2項目以上
値は必須公表項目数の目安。改正後の101〜300人:賃金差異+管理職比率+1項目以上の計3項目
厚生労働省
4. 男女賃金差異の計算方法と落とし穴
男女間賃金差異の計算式は単純に見えて、実務上はさまざまな判断が求められる。計算誤りや範囲設定の誤りが後から発覚するケースも想定されるため、正確な理解が不可欠だ。
計算式:
男女間賃金差異(%) = 女性の平均賃金 ÷ 男性の平均賃金 × 100
賃金に含まれるもの: 基本給、時間外労働手当、通勤手当、家族手当、住宅手当、賞与(ボーナス)
賃金に含まれないもの: 退職金(退職手当)、通勤費の現物支給、私傷病・育児・介護休業中の手当
よくある計算の落とし穴
非正規労働者の取り扱い
「全労働者」の計算では、パートタイム・有期雇用労働者を含めた全員の賃金を集計する。フルタイム換算(FTE換算)は行わず、実際の支払賃金額を使用する。非正規雇用は女性比率が高いため、FTE換算しない場合に女性の平均賃金が低く算出される傾向がある点に注意が必要だ。
集計期間と対象者の基準日
賃金差異の集計は事業年度単位で行い、期間中に在籍した全労働者(出向者・派遣受け入れ労働者は除く)が対象となる。育児休業中や長期病欠中で給与が支払われていない期間がある場合、その期間の賃金はゼロではなく、期間按分により適切に処理する。
職種・等級の構成を考慮した補足説明
単純な賃金差異の数値だけでは、格差の原因が「職種構成」なのか「同一職種内の処遇差」なのかが分からない。厚生労働省は、賃金差異の数値とともに差異が生じている理由の説明を添付することを推奨している。たとえば「管理職・専門職比率の男女差が主因であり、同一職種・等級内の差異は限定的」といった補足が有効だ。
5. えるぼし・プラチナえるぼし認定の新要件
女性活躍推進法に基づく認定制度として「えるぼし認定」と「プラチナえるぼし認定」がある。2026年改正では、プラチナえるぼしの認定要件に新たな基準が追加される。
えるぼし認定(3段階)
えるぼし認定の5つの基準:①採用(男女別採用実績比率)、②継続就業(男女の雇用継続状況)、③労働時間等の働き方(時間外労働・有休取得)、④管理職比率(女性管理職比率の水準)、⑤多様なキャリアコース(女性の職域拡大)。
1〜2基準を満たすと1段階目、3〜4基準で2段階目、5基準すべてで3段階目の認定となる。
プラチナえるぼし認定(最上位)─ 2026年改正で新要件追加
プラチナえるぼしは、えるぼし3段階目(5基準すべて達成)に相当する基準を満たした上で、女性活躍推進の取組に関して特に優れた実績のある企業に与えられる最上位認定だ。
2026年改正で追加される新要件: 事業主が講じている求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることが、プラチナえるぼし認定の新たな要件として追加される。現在プラチナえるぼし認定を受けている企業も、認定を維持するためにはこの要件を満たす必要がある(施行日は公布後1年6か月以内に政令で規定)。
認定取得の戦略的意義
えるぼし・プラチナえるぼしの認定マークは、採用活動や取引先への信頼性アピールに活用できる。厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」や「えるぼしナビ」への掲載も行われ、求職者への訴求力が高まる。
また、公共調達における加点評価(えるぼし認定企業が入札で有利になる仕組み)も継続されており、特に官公庁・公的機関との取引が多い企業にとっては事業上のメリットも大きい。
6. カスタマーハラスメント防止措置の義務化
注意:施行日について
カスタマーハラスメント防止措置の義務化は、女性活躍推進法の改正と同じ法改正パッケージ(「I. ハラスメント対策強化」)に含まれるが、施行日は公布後1年6か月以内に政令で定める日であり、2026年4月1日の情報公表義務とは異なる。公布日は令和7年(2025年)6月11日。
カスタマーハラスメント(カスハラ)防止措置が、努力義務から事業主の法的義務へと格上げされる。対象は全企業だ。
カスハラとは、以下の3つの要素をすべて満たすものと定義される。①顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う、②社会通念上許容される範囲を超えた言動により、③労働者の就業環境を害すること。
カスタマーハラスメントの法的定義
①顧客等の行為 ②社会通念上許容される範囲を超えた言動 ③労働者の就業環境を害する ─ 3要素すべてを満たすものが対象
厚生労働省
同じ法改正パッケージには、求職者等に対するセクシュアルハラスメント(いわゆる「就活セクハラ」)防止措置の義務化も含まれている。就職活動中の学生やインターンシップ生等に対するセクハラを防止するための必要な措置を講じることが事業主の義務となる。
事業主に求められるカスハラ防止体制の要素
事業主に求められるカスハラ防止体制の要素
2026年改正による義務化の内容
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 方針の明確化 | カスハラを容認しない方針の策定・周知(就業規則への明記等) |
| 相談体制の整備 | 被害を受けた従業員が相談できる窓口の設置・運営 |
| 対応方法の策定 | カスハラ発生時の組織的な対応手順(エスカレーション基準等) |
| 従業員へのケア | 被害を受けた従業員への心理的支援・配置転換等の配慮 |
| 記録と再発防止 | カスハラ事案の記録・分析と予防的な改善措置 |
| 研修・啓発 | 管理職・従業員へのカスハラ対応研修の実施 |
7. 企業データ ─ 女性管理職比率・女性活躍指標リスト
mvv.jpが収録する企業の公開データから、女性管理職比率・女性取締役比率・女性従業員比率のリストを掲載する。データは各社の統合報告書・ESGデータブック・有価証券報告書から抽出したもので、原則として最新年度の数値を使用している。2026年4月以降は101人以上のすべての企業が男女賃金差異と女性管理職比率の公表義務を負うため、この種のデータが今後急速に拡充される見込みだ。
データの読み方
女性管理職比率のリストを見ると、業種・企業規模によって数値が大きく異なることがわかる。一般的に、医療・介護・教育・小売サービス系の企業では女性の割合が高く、建設・製造・金融(特に生保以外)・総合商社では低い傾向がある。これは職種や採用構造の違いを反映したものだ。
DB収録企業の平均女性管理職比率は35.3%であり、業種・規模によるばらつきが大きい。この数値をどう改善するかが、各社の人材戦略の中心課題となっている。
8. グローバル比較 ─ EU賃金透明性指令との対比
日本の女性活躍推進法改正は世界的な文脈でどう位置づけられるのか。特に注目すべきは、欧州連合が2023年5月に採択したEU賃金透明性指令(Pay Transparency Directive)との比較だ。同指令は加盟国に2026年6月7日までの国内法化を義務付けており、グローバルスタンダードを大きく塗り替えつつある。
日本の女性活躍推進法 vs EU賃金透明性指令
制度設計の比較
| 比較項目 | 日本(女性活躍推進法) | EU(賃金透明性指令) |
|---|---|---|
| 施行時期 | 2026年4月1日(日本国内) | 2026年6月7日(加盟国国内法化期限) |
| 対象規模 | 101人以上の企業 | 100人以上の企業(段階的に拡大) |
| 開示内容 | 男女間賃金差異(3区分)・女性管理職比率 | 賃金差異・賃金帯の事前開示・個人の賃金情報請求権 |
| 開示先 | 一般公表(インターネット等) | 従業員・当局・一般公表(段階による) |
| 罰則 | 報告徴収・助言・指導・勧告・企業名公表 | 差額賃金の支払命令・補償・罰金(最低水準を加盟国が設定) |
| 職務評価 | 要件なし | 性別中立的な職務評価制度の導入義務化 |
| 賃金帯の事前開示 | なし | 求人段階での賃金帯・賃金下限の開示義務(新規) |
| 訴権(労働者) | なし | 差別を受けた労働者に裁判上の請求権を付与 |
比較表から明らかなように、EU賃金透明性指令は日本の制度をはるかに上回る踏み込んだ内容を持つ。特に注目すべきは**「賃金帯の事前開示」**だ。求人を出す際に賃金の範囲や下限額を記載することを義務付けるもので、求職者が賃金の男女差を事前に把握できるようにする仕組みだ。
また、EU指令では労働者が自分と同等の職種・職位の同僚の賃金水準に関する情報を請求できる**「個人の賃金情報請求権」**も付与されている。差別的な賃金慣行があった場合には、訴訟上の請求権も与えられる。
日本でEUと同水準の制度が直ちに導入される可能性は低いが、グローバルに事業を展開する日本企業は、EU域内の法人・子会社においてEU指令への対応が求められる。本社レベルでのガバナンス・データ管理体制の整備が急務となっている。
9. 企業が今すべきこと ─ 対応チェックリスト
2026年4月1日の施行に向けて、企業規模別の対応優先事項を整理した。
101人以上300人以下の企業(新規義務化対象)
男女別の賃金データの整備
正規・非正規・全労働者の3区分での集計体制を構築する。
女性管理職比率の集計体制の構築
定義確認・集計ルール策定を行い、正確な数値算出ができる体制を整える。
行動計画の策定・届出とえるぼし申請の検討
未実施の場合は行動計画を策定・届出し、えるぼし認定申請の可否を評価する。
男女賃金差異の公表プラットフォームの選定
自社サイト・厚労省DBなどの公表先を選定する。
カスタマーハラスメント防止方針の策定
就業規則への反映と相談窓口の設置を行う。
HR担当者・管理職への改正内容の研修実施
改正の内容・義務・対応方法を関係者に周知する。
301人以上の企業(既存義務に追加対応)
女性管理職比率の選択公表から必須公表への移行確認
既に公表中の企業は継続。未公表の場合は即時対応が必要。
プラチナえるぼし認定の新要件への対応可否の評価
就活セクハラ防止措置の公表要件を充足できるか確認する。
EU賃金透明性指令の国内法化動向の把握
グローバル展開企業は各加盟国の立法状況をモニタリングする。
有価証券報告書の人的資本開示との整合性確認
人的資本可視化指針2026年版との整合を確保する。
カスハラ防止体制の法的義務化への格上げ対応
既存体制を確認・強化し、法的義務水準に引き上げる。
女性管理職比率の目標設定と進捗確認
行動計画の数値目標と実績の整合を確認する。
データ整備から開示戦略まで、義務対応にとどまらず、男女賃金差異・女性管理職比率のデータを人的資本経営の中核指標として戦略的に活用する視点が重要だ。2026年の人的資本可視化指針(改訂版)が示すように、単なる数値の開示ではなく、経営戦略との連動を示すナラティブが投資家・求職者への訴求力を生む。
- 2026年4月の女性活躍推進法改正で何が変わる?
- 2026年4月1日から、101人以上300人以下の企業にも「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の情報公表が義務化されます。301人以上企業にはさらに女性管理職比率の公表が追加義務となりました。また法律の有効期限が10年延長(令和18年3月31日まで)されます。なお、カスタマーハラスメント防止措置の義務化も同改正パッケージに含まれますが、施行日は「公布(2025年6月11日)後1年6か月以内に政令で定める日」であり、2026年4月1日ではありません。
- 男女間賃金差異の計算方法は?
- 「女性の平均賃金 ÷ 男性の平均賃金 × 100(%)」で算出します。正規雇用・非正規雇用・全労働者の3区分での開示が求められます。賃金には基本給・時間外手当・通勤手当・賞与等を含みますが、退職金は除きます。フルタイム換算(FTE換算)は行わず、実際の支払賃金を使用します。
- えるぼし認定とプラチナえるぼしの違いは?
- えるぼし認定は5つの基準の達成状況に応じた3段階の認定制度です。プラチナえるぼしは最上位認定で、えるぼし3段階目の基準をすべて満たした上で特に優れた実績のある企業に与えられます。2026年改正でプラチナえるぼしの認定要件に新基準が追加されました。
- カスタマーハラスメント防止措置の義務化はいつから?
- カスハラ防止措置の義務化は女性活躍推進法と同じ改正パッケージに含まれますが、施行日は「公布(2025年6月11日)後1年6か月以内に政令で定める日」であり、2026年4月1日ではありません。事業主は方針の明確化・相談窓口の設置・対応手順の策定・従業員へのケアなどの体制整備が求められます。
- 公表しなかった場合の罰則は?
- 直接の罰金規定はありませんが、厚生労働大臣による報告徴収・助言・指導・勧告の対象となります。勧告に従わない場合は企業名が公表される可能性があります。また、えるぼし認定の取得・維持に影響するほか、ESG投資家・求職者からの評価にも影響します。
▶出典(8件)
- 女性活躍推進法2026年改正の全体像(ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内, p.1)
- 女性活躍推進法 情報公表義務の改正前後比較(ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内, p.2)
- 女性活躍推進法の有効期限延長(ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内, p.2)
- 女性の健康課題による経済損失は年間3.4兆円(人的資本可視化指針(改訂版), p.6)
- プラチナえるぼし認定の新たな認定要件(ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内, p.2)
- カスタマーハラスメントの法的定義と3要素(ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内, p.1)
- 就活セクハラ防止措置の義務化(ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内, p.1)
- 女性の健康課題への企業の取組促進方針(ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内, p.2)
使用データ一覧
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
2022年版は重要性の指摘にとどまり、経営戦略と人材戦略の連動についての具体的な記述は限定的だった | 2026年 | 2026年改訂の人的資本可視化指針は、経営戦略と連動した人材戦略の策定を通じて、企業価値の向上につながる質の高い人的資本投資の実践と開示の好循環を実現すべく、「国際的な開示基準を踏まえた情報開示の進め方」や「具体的な考え方とその実践」についてガイダンスを提供する。 | - |
2026年3月期の有価証券報告書から全上場企業に義務化 | 2026年 | 「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正(2026年2月20日公布・施行、2026年3月期から適用)により、企業戦略と関連付けた人材戦略と、それを踏まえた従業員給与等の決定方針等の開示が求められることとなった。 | - |
p.18 付属資料の説明 | 2026年 | 人的資本可視化指針(改訂版)には、本紙及び別紙「戦略に焦点をあてた人的資本開示 〜投資家の期待に応えるための考え方の整理〜」に加え、3つの付属資料がある: 付録①「経営戦略と人材戦略の連動及びそれを踏まえた指標の開示事例」(企業の開示事例を参考として整理)、付録②「人的資本に関する開示基準・開示事項例の整理」(代表的な開示基準等における開示事項を例示的に紹介)、付録③「参考資料集」(企業が自社の人的資本開示を検討する上で有用な情報を整理)。 | - |
はじめに(改訂の背景と趣旨)p.1 | 2026年 | 今後の労働供給制約下における産業構造の転換や、生成AIの進展による大幅なスキル需要の変動、ビジネスモデル、業務プロセスの変化への対応の必要性を踏まえると、単なる投資量の拡大だけでなく、企業価値の向上につながる質の高い人的資本投資の拡大がより重要となっている。 | - |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
2021年時点の各国比較、EUKLEMS INTANProd 2021のデータ(経済産業省作成) | 2026年 | 日本の人的資本投資額(OFF-JTに関する直接費用+間接費用)の対名目GDP比率は0.22%であり、米国(1.75%)、フランス(1.66%)、ドイツ(1.12%)、英国(0.91%)と比べて著しく低い水準にある。 | - |
OCEAN TOMO「INTANGIBLE ASSET MARKET VALUE STUDY」(2020年)より | 2026年 | 2020年にはS&P500の構成銘柄の時価総額のうち90%を無形資産(時価総額から純有形資産を引いたもの)が占めている。日本における無形資産投資は米国、ドイツ、フランス、英国と比べて低水準であり、この10年間でほとんど増加していない。 | - |
OECD Data Explorer "Gross domestic expenditure on R&D by sector of performance and type of expenditure"より、2021年のデータを基に経済産業省作成 | 2026年 | 研究開発費(購買力平価換算)における人件費の構成比は、日本39.9%に対し米国61.7%、ドイツ64.4%、韓国48.1%と、日本は研究開発費に占める人件費の割合が著しく低い。研究開発費総額(十億米ドル)は日本135.1、米国565.4、ドイツ86.6、韓国86.9。 | - |
World Intellectual Property Organization/Luiss Business School Global INTAN-Invest のデータ(2023年9月版)を基に経済産業省作成。無形資産投資の対象はソフトウェア・データベース、研究開発、鉱物探査、著作権、デザイン、金融商品等。 | 2026年 | 無形資産投資の推移(2013年=100)を見ると、2023年時点で米国172、英国149、フランス142、ドイツ136に対し、日本は106と、この10年間でほとんど増加していない。先進各国が右肩上がりに投資を増加させている中、日本だけが停滞している。 | - |
マーサー社提供データを基に経済産業省作成 | 2026年 | 各国の全職種の賃金を100とした場合の職種別賃金差(専門職シニア/Senior Professional水準、2024年4月時点): 日本はIT(0.9)、データアナリティクス(0.3)、技術研究(-0.1)と賃金差がほぼゼロ。一方、米国はIT(9.5)、データアナリティクス(9.7)、技術研究(6.4)、韓国はIT(16.5)と大きい。経営/企画では日本(2.4) vs 米国(5.2) vs フランス(7.3)。プロジェクトマネジメントでは日本(3.9) vs 米国(6.2) vs フランス(8.2)。 | - |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
2022年就業者数6706万人→2040年労働需要6303万人(約200万人はAI・ロボット等で代替) | 2026年 | 経済産業省が試算した「2040年の就業構造推計(改訂版)」によれば、2040年に十分な国内投資や産業構造転換が実現する場合、人口減少により就業者数は減少するが、AI・ロボット等の利活用やリスキリング等による労働の質の向上により、全体で大きな不足は生じないとされている。一方、職種間、学歴間によって需給のミスマッチが発生する可能性がある。 | - |
日本総研「人的資本経営ステークホルダー調査 ─「対話」としての人的資本開示─(2024年度)」2024年11月21日 | 2026年 | 就職・転職活動の際、企業の人的資本開示が充実している場合に選考参加優先度が「上がる」「やや上がる」と回答した層は合計44.5%に達する。また、人的資本開示の充実している企業は新卒・中途ともに採用充足率が高いという調査結果もある。 | - |
株式会社リクルード「企業情報の収集や入職後の状況に関する調査2024」第一回(2024年9月) | 2026年 | 就職・転職活動の際、企業の人的資本開示が充実している場合の選考参加優先度の変化: 「上がる」11.9%、「やや上がる」32.6%(合計44.5%)、「どちらともいえない」36.7%、「あまり上がらない」11.9%、「上がらない」7.0%。調査対象は短期大学・4年制大学、20代〜30代の就職活動者(2024年9月調査、回答数10,135)。 | - |
日本総研「人的資本経営ステークホルダー調査 ─「対話」としての人的資本開示─(2024年度)」2024年11月21日 | 2026年 | 企業の人的資本開示の充実度と採用充足率には正の相関がある。中途採用では、充実度の高い企業群(エンゲージメントや育成方針の情報提供をしている企業)の方が採用充足率が高い。新卒採用でも同様に、充実度の高い企業は「採用予定数をおおむね充足できている」「採用予定数以上に採用できている」割合が高い。 | - |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
一般社団法人生命保険協会「企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート集計結果(2024年度版)」、回答数は企業444、投資家86 | 2026年 | 投資家86社を対象とした調査では、中長期的な投資・財務戦略において人的資本投資を特に重視すべきと考える投資家が6割以上おり、人的資本投資の重要性は多くの投資家が認識している。投資家は特に、人材戦略が企業価値の向上につながるストーリーや、人材戦略が影響を与える経営戦略・事業戦略・財務指標に関心を持っている。 | - |
三井住友信託銀行ガバナンスサーベイ2024より経済産業省作成(データは一部推計) | 2026年 | 「人事戦略が企業価値向上につながるストーリー」について、企業側は47%が開示していると認識しているのに対し、投資家側は70%が関心を持っている。「人事戦略が影響を与える経営戦略・事業戦略」については企業25%に対し投資家64%、「人事戦略が影響を与える財務指標」については企業4%に対し投資家44%と、大きな認識ギャップがある。 | - |
比較可能性のある指標(従業員数、人件費、離職率、エンゲージメントスコア)と独自性のある指標のバランスが重要 | 2026年 | 投資家は、企業が比較可能性を追求するあまり独自性ある開示が抑制されることを懸念している。自社の戦略に基づく取組を説明する独自性のある指標を用いる際、自社の成長ストーリーを客観的な事実に基づいて論理的に説明することが期待されている。企業独自の指標については、経営戦略と連動した企業固有の人材戦略の進捗を示すものであるほど望ましい。 | - |
投資家との対話における重要な前提認識 | 2026年 | 投資家の大きな関心事項の1つには株主還元があり、株主還元の拡大と人的資本投資の拡大は相反するものと捉えられることもある。しかしながら、両者は相反するものではなく、人的資本投資の拡大を通じて企業価値を向上させることは投資家の利益にもつながるものであり、こうした認識に立った対話を進めることが重要である。 | - |
ボストン・コンサルティング・グループ合同会社「人的資本開示に対する海外投資家の着眼点及び開示に関する調査」報告書(2025年4月)p30-32を基に金融庁作成 | 2026年 | 幅広い企業に開示が期待される4指標について、グローバル投資家から以下の意見: (1)従業員数=事業別・地域別の増減傾向で人材採用における課題を把握、(2)人件費=給与や株式報酬・研修費用を含む人件費を階層・事業・地域別にブレークダウンした情報は、財務諸表に反映されない無形資産に関する情報開示を補完するものとして非常に有用、(3)離職率=経営者がどのように判断しているかコンテキストと合わせて開示することが重要、一定程度の人材の流動性があることはイノベーション向上にもつながる、(4)従業員エンゲージメントスコア=関連指標を時系列で開示し、人材戦略の有効性をモニタリングするうえで非常に有用、ただし設問やスコアの算定手法が企業ごとに異なると単純な企業間比較はできないため、時系列での変化や同業他社との比較が重要。 | - |
p.11「人的資本開示における独自性と比較可能性に関する投資家の意見」 | 2026年 | 独自性のある指標を用いる場合、国際基準を踏まえた人的資本開示においては、指標の定義、算定方法、算定に用いたインプット等の開示が期待される。これに加えて投資家からは以下の開示も期待: (1)当該開示を重要だと考える理由、(2)当該指標が人材戦略とどのように連動しているのか、(3)達成度・進捗度を意識した時系列で比較可能な実績の開示、(4)当期の財務諸表数値との関連(コネクティビティ)。企業独自の指標については、経営戦略と連動した企業固有の人材戦略の進捗を示すものであるほど望ましい。 | - |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
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ISSB基準/SSBJ基準を参考に金融庁作成 | 2026年 | 国際基準(ISSB/SSBJ)において、4つの要素(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標)に基づく開示が求められている。人的資本可視化指針(改訂版)では、このうち「(人材)戦略」と「(人的資本関連の)指標及び目標」に関して経営戦略と連動付けた開示が投資家から期待されているとし、「ガバナンス」と「リスク管理」の開示を関連付ける形で4つの要素に従った開示となる。 | - |
IFRS S1付録B適用ガイダンス(BC60-71頁)を基に金融庁作成 | 2026年 | 経営戦略と人材戦略の連動を説明するための第1ステップ「人的資本への依存・影響」: 企業の経営戦略の実現は、将来の「あるべき組織・人材の姿」を踏まえて、必要となる人的資本を確保できるか否かに「依存」する。また、企業は人材採用、人材育成、適切な賃金水準の設定、従業員の福利への投資、従業員エンゲージメントへの取組を含む職場環境整備等の「必要な人的資本投資」を行い、人的資本に「影響」を与える。 | - |
経営戦略から生じる人的資本関連のリスク及び機会を踏まえた人材戦略や人的資本への投資を明瞭かつ論理的に関連付けることで、統合的なストーリーとして説明できる | 2026年 | 第2ステップ「人的資本関連のリスク・機会」: 人的資本への依存・影響の相互関係を明らかにすることは、経営戦略の実現にあたり企業の見通しに影響を与える(企業のキャッシュ・フロー等に重要な影響を与える)と合理的に見込み得る、人的資本関連のリスク及び機会を整理することに資する。連結グループ全体に加えて、ビジネスモデルのどの部分(事業セグメント、バリューチェーン上の機能、国・地域)に重要な人的資本関連のリスク及び機会が生じているのかを明確にすることが重要。 | - |
p.2とp.9の改訂前後対比図の内容 | 2026年 | 【改訂前の構造】経営戦略・ビジネスモデルと人材戦略は重要性の指摘にとどまる弱い接続。人材戦略と人的資本関連指標及び目標が直接つながる構造。企業の現状は一般的な開示事項(女性管理職比率、エンゲージメントサーベイ結果等)に留まり、経営戦略との連動についての記述がないケースも多い。【改訂後の構造】経営戦略・ビジネスモデルから「あるべき組織・人材の姿」と「必要となる人的資本投資」を経由して人材戦略へとつながる明確なフロー。経営戦略と連動した人材戦略・人的資本投資をどのように考え、実践するかについて、新たな国際基準も踏まえた考え方を整理。 | - |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
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事業セグメント・地域ごとに検討し、組織全体の基盤構築と合わせて実施 | 2026年 | 経営戦略と連動した人材戦略の策定には3つのステップがある: ①経営戦略における重要度の高い項目においてあるべき組織・人材の姿を策定(人材ポートフォリオの構築、組織・人材の活性化、経営基盤の強化)、②必要な人材戦略・人的資本投資を整理(あるべき姿と現在の組織・人材の姿を比較し、ギャップを埋めるアクションや人事施策等を検討・整理)、③経営に与える影響度を基に、人材戦略を策定・人的資本投資を検討(リスクや機会を分析し、優先順位付けし、経営戦略と整合的な時間軸を設定)。 | - |
生成AIなどの革新的技術の進展や人口減少等に伴い、人材ポートフォリオや人材戦略を質・量両面から不断に見直す重要性が増している | 2026年 | 経営戦略と連動した人材戦略を策定し、企業価値の向上につながる人的資本投資を実践するためには、経営層のコミットメントや従業員との対話が必要不可欠。まず経営トップが人材戦略・人的資本投資にコミットして自ら積極的に発信・対話することが重要。CHROをはじめとしたCXO等の経営陣・取締役レベルが、それぞれの役割を明確にした上で、その取組に対してコミットすることが重要。人事部門は事業部門をはじめ経営企画・財務・経理・IR・サステナビリティ関連部門等と連携しながら、戦略部門としての機能も果たすことが期待される。 | - |
p.14の図「AI自動運転を進めるテック系企業の事例」より。検討フローを参考に経営戦略と連動した人材戦略・人的資本投資を検討する具体例。 | 2026年 | AI自動運転を進めるテック系企業の経営戦略と連動した人材戦略の例: 【事業セグメント・地域ごと】経営戦略「AI技術を活用した自動運転の実用化」→あるべき姿「AI分野の高度専門人材の確保/多数のソフトウェア開発要員の確保」→人的資本投資「高度専門人材にする競争力のある報酬水準の設定、グローバルでの採用活動の実施、ソフトウェア開発要員の採用、開発要員に対する人材育成研修」。経営戦略「顧客ニーズを踏まえた既存ビジネスの収益力強化」→あるべき姿「業務スキルの保有/現場従業員の高いモチベーションの醸成」→人的資本投資「リスキリングの実施、外部経験者の確保、現場の管理職のマネジメント力強化に向けた投資」。【組織全体の基盤構築】経営戦略「経営戦略の実行力を高める基盤強化」→あるべき姿「大局的な観点から経営判断を行うことができる人材の確保/従業員の定着」→人的資本投資「経営者候補人材の獲得・育成、従業員の福利への投資、従業員の満足度向上に向けた職場環境整備」。 | - |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
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独自性と比較可能性のバランス、事業セグメント別の管理が重要 | 2026年 | Point 1「指標及び目標の設定」: 経営戦略や、あるべき組織・人材と人材戦略・人的資本投資との関係を企業の成長ストーリーと論理的に説明するための定量的な指標及び目標を適切に設定する。企業固有の戦略やビジネスモデルに沿った独自性のある取組、指標及び目標と、投資家が企業間比較をするために用いる比較可能性の高い指標及び目標をバランスよく設定することが重要。人的資本投資・人材戦略と経営戦略、財務指標とのつながりを明確に表現するためには、連結グループ全体だけでなく事業セグメント・地域ごとに指標を管理することも考えられる。 | - |
DX・AI活用によるモニタリングの合理化を推奨 | 2026年 | Point 2「人的資本の可視化とモニタリング」: 設定した指標及び目標に基づいて自社の人的資本の現状を可視化し、あるべき組織・人材の姿と現状との差分を明らかにするとともに、そのギャップを埋めるために必要な取組の進捗をモニタリングする。進捗のモニタリングに際しては、データ集計等の開示実務の合理化や、戦略や取組の適時での進捗確認やアップデートを可能とすること等の観点から、人的資本関連情報のDXやAI等のテクノロジーを活用することも重要なアプローチとなる。 | - |
財務・人事の両面からの一貫したストーリー、望ましくない数字も原因と対応策を含めて開示すべき | 2026年 | Point 3「人的資本情報の開示」: Point 1、2において可視化した自社の人材戦略・人的資本投資の現状について、企業価値の向上に向けた経営戦略の実現や財務指標の向上との関係を、定量的な指標に加えて定性的な説明も適切に活用しつつ、財務・人事の両面から一貫したストーリーとして論理的に説明する。当該期間において望ましい数字が現れていない場合においても、その原因や対応策とともに開示を行うことは、投資家の目線からは有効との声もある。 | - |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
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各国の全職種の賃金を100とした場合の職種別賃金差比較データ(2024年4月時点) | 2026年 | 重要テーマ①「重要なスキルを持つ人材の確保・育成に向けた投資(賃金等)」: 労働供給制約と労働市場での需給のミスマッチが発生する中で、必要な人材を確保できるかどうかは企業の経営戦略の実現可能性に直結するため、企業の成長に必要となるスキルを持つ人材の確保・育成の重要性は一層高まっている。日本ではIT、データアナリティクス、プロジェクトマネジメントといった専門スキルに応じた賃金差が先進諸国と比べて小さく、スキルの重要度を踏まえた報酬体系となっていない可能性がある。 | - |
ジョブ型人事指針(2024年8月公表)と連動 | 2026年 | 重要テーマ②「ジョブ・スキルに基づく処遇制度の導入」: 従来の新卒一括採用中心、年功賃金、会社主導の異動は従業員の自律的なキャリア形成を困難にしていた。個々の職務に応じて必要となるスキルを設定し、仕事内容や役割の重要度に基づいた処遇を行い、自律的なキャリア形成を目指したスキルの涵養を図るジョブ型人事への移行が考えられる。2024年8月に内閣官房・経済産業省・厚生労働省は既に20社の事例を含む「ジョブ型人事指針」を公表した。 | - |
健康経営、Well-being推進と連動 | 2026年 | 重要テーマ③「従業員の健康維持増進・働きがいのある職場づくりに関する取組」: 少子高齢化の進展に伴い労働供給制約社会になりつつある中、企業が持続的に成長していくためには社会で健康に活躍する労働力を維持することが必要。健康経営をはじめとする企業における予防・健康投資を強化・促進し、検診等による健康管理の支援や柔軟な働き方ができる職場環境づくりが急務。 | - |
ボストン コンサルティング グループ試算(ヘルスケア産業基盤高度化推進事業) | 2026年 | 重要テーマ④「女性活躍の推進」: 多くの投資家が企業の長期的な業績の向上に向けて優秀な人材を確保するために女性活躍が必要であると認識。多くの企業において役職が上がるにつれて女性の割合が下がり、能力を十分に引き出し活用しきれていない状況が見られる。性差の観点を含めた従業員の健康確保も課題で、女性特有の健康課題を放置することにより生じるプレゼンティーズムの問題やキャリア断絶による経済損失は年間3.4兆円と推計。 | - |
経済産業省「未来人材ビジョン(令和4年度)」参照 | 2026年 | 重要テーマ⑤「ダイバーシティ経営の推進」: 多様なマーケット環境の下で企業がイノベーションを創出するためには人材の多様性を確保することが重要。グローバルな経営環境や労働市場が大きく変化する中で、同質性が高い組織は変化に対する柔軟な対応力に乏しく、中長期的な競争環境を勝ち抜く上でリスクが大きい。日本においては諸外国に比して経営層をはじめとする人材の多様性が低い状況にある。 | - |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
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資本市場向けと労働市場向けで開示の対象と目的を明確に区別すべき | 2026年 | 企業は有価証券報告書に加えて、様々な任意の媒体での情報開示にも取り組んでおり、媒体ごと・企業ごとに開示の内容や想定される開示対象は異なる。有価証券報告書において経営戦略と連動した人材戦略・人的資本投資に関する情報開示を充実させつつ、必要に応じて任意の媒体も用いて人的資本への投資や人材戦略、関連する指標及び目標を開示するなど、各種開示媒体を戦略的に活用していくことも重要。 | - |
p.17 資本市場向け留意点 | 2026年 | 【資本市場に向けた対応で留意すべきポイント】投資家にとって経営戦略と人材戦略の連動の重要性は共通しつつも、投資スタイルの違いにより、経営上重要なセグメントの比較的短期的な業績に関心を持つ者から、中長期的な成長を重視し経営基盤の強化に関心を持つ者まで、関心の重心は異なる。企業価値向上への一貫したストーリーを構築しつつ、投資家の関心に合わせて戦略的に開示と対話を行うことが重要。人的資本投資の効果については、経年変化を追いつつ、定性的な記載も交えて発信することが重要。 | - |
p.17 労働市場向け留意点 | 2026年 | 【労働市場を意識した対応で留意すべきポイント】企業は労働市場に向けた情報開示については、開示と対話の対象(採用、自社従業員等)と目的を明確に定義した上で、適切な情報の取捨選択、開示媒体の選択を行う。労働市場における求職者や就職活動を控えた学生は、労働環境や企業風土等の組織的基盤の充実に関心を持つ傾向がある。具体的な目的例: 人材ポートフォリオの充足を目的とした採用拡大、従業員を対象としたエンゲージメントの向上など。IR情報の充実、採用等HPの活用、独自のレポートの作成など適切な媒体を選択すべき。 | - |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
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2022年版指針の限界と投資家からの改善要求 | 2026年 | 人的資本可視化指針の改訂背景:2022年版指針は人的資本の可視化の重要性を指摘したが、経営戦略と人材戦略の連動についての具体的な考え方やステップの記述は限定的だった。投資家からは「企業価値向上に向けた経営戦略の実現及びそれに紐付く財務指標の改善に向けて必要な人的資本投資が行われているか」という視点での情報開示が不十分との指摘があった。 | 人的資本可視化指針(改訂版) p.1 |
4要素フレームワーク(ISSB準拠)の位置づけ | 2026年 | 4つの要素を踏まえた人的資本開示の全体像:国際的な開示基準を踏まえ、経営戦略と人材戦略の関係性や、経営戦略・人材戦略と国際的に開示が求められる4つの要素(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標)の関係を整理。別紙「戦略に焦点をあてた人的資本開示」において、企業と投資家の建設的な対話に有用な開示について整理。 | 人的資本可視化指針(改訂版) p.2 |
日本の人的資本投資の対GDP比率は先進国中最低水準 | 2026年 | 各国における人的資本投資額(OFF-JTに関する直接費用+間接費用)の対名目GDP比率:日本0.22%、米国1.75%、英国1.66%、ドイツ1.12%、フランス0.91%。日本は諸外国と比べて低水準。出典:EUKLEMS INTANProd 2021のデータを基に経済産業省作成。 | 人的資本可視化指針(改訂版) p.3 |
S&P500の90%が無形資産、日本は投資低迷 | 2026年 | 2020年にはS&P500の構成銘柄の時価総額のうち90%を無形資産(時価総額から純有形資産を引いたもの)が占めている。日本における無形資産投資は米国、ドイツ、フランス、英国と比べて低水準であり、これらの国で右肩上がりに投資が増加しているのに対して、日本ではこの10年間でほとんど増加していない。出典:OCEAN TOMO「INTANGIBLE ASSET MARKET VALUE STUDY」(2020年)を基に作成。 | 人的資本可視化指針(改訂版) p.4 |
可視化指針改訂版が示す5つの重要テーマ | 2026年 | 人的資本投資の5つの重要テーマ:①重要なスキルを持つ人材の確保・育成に向けた投資(賃金等)、②ジョブ・スキルに基づく処遇制度の導入、③従業員の健康維持増進・働きがいのある職場づくりに関する取組、④女性活躍の推進、⑤ダイバーシティ経営の推進。経営戦略と連動させながら戦略的に取り組むことが質の高い人的資本投資の拡大につながる。 | 人的資本可視化指針(改訂版) p.4 |
投資家と企業の人的資本開示に対する認識ギャップ | 2026年 | 投資家86社を対象とした調査:中長期的な投資・財務戦略において人的資本投資を特に重視すべきと考える投資家が6割以上。投資家の関心事項:①人材戦略が企業価値向上につながるストーリー(投資家70% vs 企業47%にギャップ)、②人材戦略が影響を与える経営戦略・事業戦略・財務指標(投資家64%)、③人材戦略が影響を与える財務指標(投資家44% vs 企業4%に最大ギャップ)。 | 人的資本可視化指針(改訂版) p.7 |
人的資本開示は労働市場でも重要(求職者の44.5%が優先度上昇) | 2026年 | 就職・転職活動の際に企業の人的資本開示が充実している場合、選考参加優先度が「上がる」「やや上がる」と回答した求職者は合計44.5%。IR資料を参照する層も3割強存在。人的資本開示の充実した企業は新卒・中途ともに採用充足率が高い。出典:日本総研「人的資本経営ステークホルダー調査(2024年度)」。 | 人的資本可視化指針(改訂版) p.8 |
女性の健康課題による経済損失は年間3.4兆円 | 2026年 | 女性特有の健康課題を放置することにより生じるプレゼンティーズムの問題(欠勤にはいたっておらず勤怠管理上は表に出てこないが、健康問題が理由で生産性が低下している状態)やキャリア断絶による労働損失等の経済損失は、年間3.4兆円と推計されている。出典:ボストンコンサルティンググループ試算(令和5年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業)。 | 人的資本可視化指針(改訂版) p.6 |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
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女性活躍推進法2026年改正の全体像 | 2025年 | 2026年改正の2本柱:I. ハラスメント対策強化(カスハラ防止措置の義務化、就活セクハラ防止措置の義務化)、II. 女性活躍の更なる推進(法律の有効期限10年延長、101人以上企業への情報公表義務拡大、プラチナえるぼし認定要件追加)。全企業が対象(公布日:令和7年6月11日)。 | ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内 p.1 |
プラチナえるぼし認定の新たな認定要件 | 2025年 | プラチナえるぼし認定の新要件:事業主が講じている求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していること。現在認定を受けている企業も対象。施行日は公布後1年6か月以内に政令で規定(公布日:令和7年6月11日)。 | ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内 p.2 |
カスタマーハラスメントの法的定義と3要素 | 2025年 | カスタマーハラスメントの定義(3要素すべてを満たすもの):①顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う、②社会通念上許容される範囲を超えた言動により、③労働者の就業環境を害すること。事業主の防止措置義務の施行日は公布後1年6か月以内に政令で規定(公布日:令和7年6月11日)。全企業が対象。 | ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内 p.1 |
就活セクハラ防止措置の義務化 | 2025年 | 求職者等に対するセクハラ対策の義務化(いわゆる「就活セクハラ」):就職活動中の学生やインターンシップ生等に対するセクシュアルハラスメントを防止するための必要な措置を講じることが事業主の義務。施行日は公布後1年6か月以内に政令で規定。 | ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内 p.1 |
女性の健康課題への企業の取組促進方針 | 2025年 | 女性の健康課題への取組促進:女性の健康上の特性による健康課題(月経、更年期等に伴う就業上の課題)に関して、職場の理解増進や配慮等がなされるよう、今後企業の取組事例を示し、事業主による積極的な取組を促していく方針。 | ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内 p.2 |
女性活躍推進法の有効期限延長 | 2025年 | 女性活躍推進法の有効期限:令和8年(2026年)3月31日まで → 令和18年(2036年)3月31日まで10年延長。2015年成立・2016年4月施行から20年間の時限法となった。 | ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内 p.2 |
女性活躍推進法 情報公表義務の改正前後比較 | 2025年 | 改正前後の情報公表義務比較:【301人以上】改正前「男女間賃金差異に加えて2項目以上を公表」→ 改正後「男女間賃金差異及び女性管理職比率に加えて2項目以上を公表」。【101人〜300人】改正前「1項目以上を公表」→ 改正後「男女間賃金差異及び女性管理職比率に加えて1項目以上を公表」。施行日:令和8年(2026年)4月1日。 | ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内 p.2 |
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