プライム700社の98%が「知財を開示している」と答えた ─ 中身が伴うのは半数、次はブランドが加わる
2026-07-30
2026年6月12日決定の知的財産推進計画2026は、ブランドを「単なるマーケティング上の要素ではない」と書いた。販管費に沈む成長投資をどう説明させるのか、公表前の要綱の中身を一次資料から読む。
知財・無形資産の開示原則に「COMPLY」と回答したプライム上場企業の割合(時価総額上位700社)
知財・無形資産ガバナンス協会「プライム市場時価総額上位700社に対する知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告(2025年度)」
1. ほぼ全社が「開示している」と答え、中身は半数が空白のまま5年が過ぎた
コーポレートガバナンス・コードが知財への投資の開示を求めるようになったのは2021年6月の改訂である。これを受けて2022年に「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」が策定され、2023年3月には改訂版のVer2.0が公表された。制度としては5年分の蓄積がある。
その答え合わせが、2026年3月の検討会に提出された調査に出ている。東証プライム上場企業の時価総額上位700社を対象にした調査では、知財・無形資産の投資・活用戦略の開示を求める補充原則3-1③について686社(98%)が、取締役会の監督を求める補充原則4-2②について690社(99%)が「COMPLY(遵守)」と回答していた。
ところが記載内容を4段階で評価すると、絵が反転する。補充原則3-1③では、具体的な記載がある「◎」は95社(14%)、一定の記載がある「○」は229社(33%)にとどまり、記載が不十分な「△」が141社(20%)、記載そのものがない「×」が235社(33%)を占めた。調査は「ほぼ全ての企業が"COMPLY"を宣言していながら、肝心の記載内容は不十分な状況」と結論している。補充原則4-2②に至っては、記載のない「×」が592社(85%)と大宗を占める。前回改訂から約5年、遵守状況だけを見ればほぼ全社が「Comply」でありながら、開示の中身は不十分な企業が過半数を占める状況が続いている。
宣言の数と中身の数を並べると、落差の形がはっきりする。
知財開示の記載内容の評価分布(プライム時価総額上位700社・単位:社)
この5年で積み上がったのは開示の実質ではなく、「COMPLYと書く」という手続だった。政府が次に動かそうとしているのは、まさにこの空白部分である。
2. 育てたブランドは資産にならず、買ったブランドは資産になる
なぜ中身が書かれないのか。理由の一つは、書こうとしても会計がその投資を「投資」として扱っていないことにある。
2026年6月12日に知的財産戦略本部が決定した知的財産推進計画2026は、この構造を正面から書いた。研究開発、人材育成、ブランド構築、デジタル化対応など将来の競争力を支える知財・無形資産への投資の多くが会計上は販管費として処理されるため、単なるコストとして評価され、成長投資の実態や中長期的な価値創造への貢献が投資家に十分に伝わっていない、という指摘である。そのうえで、統合報告書や有価証券報告書等における説明を通じて「販管費に含まれる成長投資の位置付けを明確に示すことができないか検討が必要である」と続けた。
同じ問題は、経済産業省の価値協創ガイダンス2.0でも整理されている。知的財産をはじめ多くの無形資産はバランスシートで資産として認識されず、戦略投資は当期費用として扱われる。その情報が戦略要素ごと・事業領域ごとに示されないため、投資家に非効率な費用と認識されるおそれがある。
この非対称を最も鋭く言語化しているのは、ガイドラインVer2.0が引いた会計学者バルーク・レブとフェン・グーの一節だろう。両氏は『会計の再生』で、特許・ブランド・ノウハウといった自己創出される無形資産が即時に費用化されることを批判したうえで、こう書いている──「コカ・コーラのようにブランドを育てた場合、一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)のもとでそれは資産ではないが、そのブランドを購入した場合は、貸借対照表に誇らしげに計上されるのだ。会計によって作り出された誤った経営者のインセンティブ─育てるより買ってきた方がよい─を考えてみてほしい」。
育てれば費用、買えば資産。この一行が、ブランド投資の開示が進まない理由の骨格を説明している。
日本企業の時価総額に占める無形資産の割合は52%まで上昇し、2020年比では約20ポイントの改善である。それでも米国企業に比べれば低く、自社の強みとなる知財・無形資産の把握や活用が不十分であることが企業価値低迷の一因と指摘されている。比較対象として、2020年にはS&P500構成銘柄の時価総額の90%を無形資産が占めていた。
差は「保有量」ではなく「投資の勢い」に出ている。無形資産投資の推移を2013年=100で見ると、2023年時点で米国172・英国149・フランス142・ドイツ136に対し、日本は106。先進各国が右肩上がりに投資を増やす中で、日本だけがこの10年ほとんど動いていない。
無形資産投資の水準(2013年=100、2023年時点)
3. 政府はブランドを「マーケティング上の要素」から外した
知的財産推進計画2026が今回踏み込んだのは、ブランドの位置づけである。
同計画は、企業が保有するブランドについて「単なるマーケティング上の要素ではなく、重要な知財・無形資産の一部として明確に位置付け、経営戦略・ガバナンス・投資判断に組み込む取組を推進することが求められる」と明記した。そのうえで、ブランドの役割や成果を市場関係者に的確に伝える開示環境を整え、知財・無形資産への投資が正しく評価される市場の実現を目指すとしている。
正確に言えば、ブランドは最初から「知財・無形資産」の中にあった。ガイドラインVer2.0は、このスコープが特許権・商標権・意匠権・著作権といった知財権に限られず、技術、ブランド、デザイン、コンテンツ、ソフトウエア、データ、ノウハウ、顧客ネットワーク、信頼・レピュテーション、バリューチェーンなどを含むと定義している。変わったのは定義ではなく、そこに政策的な重心が置かれたことである。
位置づけの移動
ブランドはどこに置き直されたか
従来の実務
宣伝広告費・マーケティング予算として販管費に計上
推進計画2026
重要な知財・無形資産の一部
経営戦略・ガバナンス・投資判断に組み込む対象へ
従来の実務
ブランド担当はマーケティング部門で完結
検討会の議論
CxO間の役割分担と意思決定責任の対象
分担が整理されていないこと自体がボトルネックとされた
従来の実務
効果は定性的な説明にとどまる
推進計画2026
役割と成果を市場関係者に伝える開示環境の整備
投資が正しく評価される市場の実現が目的
業種によって重みは大きく異なる。ガイドラインVer2.0は、食品・日用品などの業界について「他業界に比べ、ブランドへの信頼が企業価値に直結する業界であり、宣伝・品質等への投資を商標に化体させて資産化する知財活動が中心である」と整理し、ブランド価値が音・位置・立体形状など多様な商標によって保護されること、それらも知財・無形資産の対象範囲に含まれることを示している。宣伝費を商標という権利に化体させて資産化するという発想は、この記事の論点をそのまま実務に落としたものと言える。
推進計画2026は、日本企業に共通する課題として5点を挙げている。競争力の源泉となる強みが形式知化されず暗黙知にとどまること、知財・無形資産への投資が将来の価値創造との関係を示されないまま費用として認識されがちであること、CxO(CFO・CTO・CHRO・CIPO等)間の役割分担や意思決定責任が整理されていないこと、知財・無形資産を中核に置いた経営を実行できる人材が不足していること、自社の強みを客観的に把握できる指標が整備されていないこと──である。ブランドはこの5点すべてに当てはまる典型例である。
4. ブランドは放置すれば減衰する ── 測り方は既に検討会のテーブルにある
「ブランド投資をどう測るのか」という問いに対して、一次資料には既にいくつかの答えが置かれている。
出発点は、ブランドが減価するという認識である。ガイドラインVer2.0は「ブランドの資産価値はバランスシートには表れないが、何もメンテナンスをしなければ減衰していくものであり、ブランド価値が毎年どの程度減衰するか評価し、その分を補い増強するための投資を行っている海外企業も存在する」と記す。同時に、ブランド価値はレピュテーション・リスクと裏表の関係にあり、レピュテーションが失われれば一気に失われる点にも注意を促している。同じ認識は価値協創ガイダンス2.0にもあり、放置すれば設備の減価償却と同様に減衰するため、減衰を評価してそれを補い増強するための投資額を示す企業がある、と説明されている。
ブランドや顧客基盤は過去の活動で築かれた信頼という「結果」であり、これらを構築・強化することは重要な戦略投資である。その効果を意識した戦略的目的を示し、測定・モニタリングしていることを示すことが投資家の理解を深めるうえで有益であり、投資の規模や内容を定量的・定性的に示したうえで、投資家から見て回収期間等を想定した「投資収益率(Return on Investment)」の考え方が示されることは有用だとされている。
より具体的な開示の型を提案したのが、検討会委員である林力一氏(野村総合研究所 シニアプリンシパル/弁理士)の資料である。販管費の中身をR&D投資・提携/M&A・ブランド・DX/生産性・人的資本の5項目に分解し、それぞれに戦略的意図・責任CxO・投資ゲート(獲得/転換/収益)・主要KPIを対応させて「Growth SG&A」として別建て表示するという案で、販管費を一括りのコストとせず、将来の「獲得」「転換」「収益」を生む戦略的投資として目的別に開示し、各フェーズKPIで評価・対話することを狙いとする。
「Growth SG&A」として別建て開示する案 ── 投資対象・責任者・KPI
| 投資対象 | 目的(経営言語) | 責任CxO | KPI(例) |
|---|---|---|---|
| コア技術・知財 | 収益源の維持・強化 | CTO | 営業利益率、シェア維持率 |
| ソリューション技術・知財 | 未開拓顧客の獲得(市場アクセス) | CTO/CDO | 獲得数(n)、CPA、採用社数、転換率(CVR) |
| 非財務投資の総合評価 | コア事業の収益性への接続 | CFO | 知財ROI、回収期間、投資リスク |
| ブランド(市場開拓) | 獲得効率の向上、信頼醸成 | CBO/CEO | リード獲得、指名検索、CVR、LTV |
| 人材(創造・プロデューサ) | 事業化力の獲得 | CHRO | 新規テーマ創出数、事業化率 |
ブランドの行に着目すると、責任者はCBO/CEO、KPIは「リード獲得、指名検索、CVR、LTV」と置かれている。マーケティング部門が日常的に見ている数字が、そのまま無形資産投資の説明指標として並んでいる点が特徴的である。指標を新たに発明する話ではなく、既にある数字を経営の言語に接続する話として設計されている。
もっとも、検討会自身がこの接続の難しさを最大の障害と認識している。第29回の議事概要には、KPIと経営成果との関係を明確に説明できないことが議論上の大きな課題であり、「数値的根拠のない議論は空中戦になってしまう」という指摘、そして知財・無形資産を可視化してKPIを示したうえで議論する流れの確立が「現在の最重要課題」であり、その欠如が現状のボトルネックである、との整理が残されている。開示の型は描けても、投資と成果を結ぶ因果はまだ埋まっていない。
5. 自社では「知財」と呼んでいなかった ── 表彰事例が示した認識のずれ
第29回検討会に提出された2025年度の知財・無形資産ガバナンス表彰の分析には、ブランドと知財の距離を示す事例が並ぶ。
貝印は、知財を全社の行動規範に組み込み、知財部を8倍・知財費用を6倍に増やした。整理された因果パスは「知財費用=ブランド投資」であり、それが商品の「勝ちパターン」確立につながり、知財費用の売上比率管理という財務規律に接続している。知財費用をコストではなくブランドへの投資と定義し直した例である。
NECの事例はさらに示唆的である。同社はブランド・デザイン戦略を「知財ガバナンス」と自覚していなかったが、CFO直下のCDsO設置やBlueStellarの発信が無形資産ガバナンスそのものとして評価された。すでに実行しているにもかかわらず、それを知財・無形資産の言葉で説明していなかった、という構図である。開示の空白は必ずしも取組の空白を意味しない。数字の側では、R&D投資を売上の約4%で継続して無形資産比率80%を達成し、CFOがロジックツリーで統合開示を行い、PBRは1倍から3倍へ、株価は2020年比約4倍という成果に接続している。
イトーキは、ブランドと知財を同じ設計図に乗せた例である。知財機能を経営企画部門直下に置き、外部からCCD(Chief Creative Director)を招聘して新ブランドを創出した。Office3.0の特許比率は4%から24%へ拡大し、「知財ポートフォリオ変化→事業ポートフォリオ転換」という因果パスのもとで営業利益100億円・ROE13.8%・PBR1.7倍に至っている。それでも審査委員からは「知財→事業→収益の変化ストーリーを投資家に見せてほしい」「役員報酬とKPI連動を明言すべき」という助言が出され、同社は開示の不足を認識していなかった。
アシックスは、知財戦略委員会で全社IP戦略を策定し、「IP戦略→ブランド価値向上→グローバル売上拡大」という因果パスを描いている。IR面談は年1,651回、ROICは10%以上を目標とし、CAO Officeで因果の定量化に着手した段階にある。一方で「非財務投資→企業価値の因果関係の定量化」が次の課題として浮上している。先進企業でも、因果を数字で結ぶ作業は途上にある。
4社に共通するのは、ブランドを扱う部門と知財を扱う部門が別々に存在し、両者を一つの投資として語る言語が社内になかった点である。推進計画2026が挙げたボトルネックのうち「CxO間の役割分担や意思決定責任が整理されていない」という指摘は、この距離を指している。検討会では、経営戦略として知財・無形資産をCEOが自ら説明することが重要な論点として共有されており、知財責任者の経営層への参画等を通じて知財・無形資産を経営の共通言語として位置付ける取組が求められている。
6. 有価証券報告書に載る日は来るか ── 要綱の公表までに見ておく4点
現時点で公表されているのは方針までで、要綱そのものは出ていない。
内閣府の「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」は、2026年6月26日の第30回で資料4として「価値創造を加速する知財・無形資産経営ガイダンス(案)」を示している。ただし内閣府サイトに掲載されているのは議事次第と委員名簿のみで、ガイダンス案の本体は掲載されていない。続く第31回は2026年7月29日16時からWeb開催され、こちらも事務局説明資料は同日時点で未掲載である。名称については、CGコード改訂で知的財産等の無形資産への投資が明記されたことを受け、検討会が用いてきた「知財・無形資産」に揃えることが望ましいとの整理がなされている。
要綱の公表まで
見ておく4つのポイント
有価証券報告書への波及
統合報告書等の自主開示の促進に加え、有報の記載事項とすることも含めて開示の在り方を検討中
販管費の説明方法
研究開発費・人材投資について目的・期待される効果・進捗を補足的に説明する案が検討会で挙がっている
ガイドライン再改訂
知財・無形資産ガバナンスガイドラインの再改訂を念頭に、業種別・ビジネスモデル別の実態把握と分析を予定
CGコード原則4-1との接続
2026年改訂で成長投資の説明は取締役会の責務に。知財・無形資産はその内側にある
第一に、有価証券報告書への波及である。推進計画2026は、知財・無形資産に関する事項について「統合報告書等における自主的な開示を促すことや有価証券報告書の記載事項とすることも含め、開示の在り方を検討することが課題」と記した。自主開示の枠にとどまるのか、法定開示の側へ動くのかが最初の分岐になる。
第二に、販管費をどう説明させるかである。検討会では、販管費として処理されている研究開発費や人材投資について、その目的・期待される効果・進捗を補足的に説明することが長期志向の投資判断にとって有用であるとの意見が出ており、開示項目の整理や企業の規模・業態の多様性への配慮、好事例の横展開が論点となっている。ブランド投資の開示も、この「補足的な説明」の設計に乗る可能性が高い。
第三に、ガイドラインの再改訂である。内閣府は知財・無形資産ガバナンスガイドラインの再改訂を念頭に検討を継続しており、上場企業の推進状況について業種別・ビジネスモデル別の実態把握と課題の構造化、機関投資家の関心に関する調査・分析が必要とされている。加えて、再改訂を待たずに「改訂における要素を先取りし、コーポレートガバナンス・コード改訂に合わせて、上場企業の取締役会及び経営層に、知財・無形資産の価値の本質を伝えるメッセージ等の発信」を検討していると明記されている。今回の要綱は、この「先取りのメッセージ」に相当する位置にある。
第四に、コーポレートガバナンス・コードとの接続である。2026年7月21日に確定した改訂版コードは、原則4-1で取締役会に対し「成長投資(設備・研究開発・人的資本・知的財産等の無形資産への投資等)や事業ポートフォリオの見直し等の経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのか」の説明を求めた。金融庁・東証は成長投資に関する取締役会の役割を、成長の道筋の構築・実行内容の説明・配分の不断の検証の3点に整理している。解釈指針では投資先の検討軸として内部投資か外部投資か、短期か中長期か、国内か国外かという観点が示されている。ブランドへの投資は、この「知的財産等の無形資産への投資」の内側に置かれた。
5年前に始まった知財開示は、98%が「開示している」と答えながら、中身は半数以上が不合格という結果に終わった。今回動くのは、その空白の書き方である。ブランドを宣伝費のまま置くのか、育てた資産として説明する言葉を持つのか──要綱の公表は、その問いが各社に届く合図になる。
出典(38件)
- また、知財・無形資産投資の重要性に鑑み、2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂において、知財への投資に関して、分かり易く情報を開示・提供すべき点が明示された。このような状況を踏まえ、2022年に、実際に企業開示の現場においてどのように実践すべきかを詳述する「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」が策定され、2023年3月には改訂されたVer2.0が公表された。 2021年CGコード改訂 → 2022年ガイドライン → 2023年Ver2.0 の系譜(知的財産推進計画2026 ~成長戦略を支える知財戦略の推進~, p.12)
- 調査対象700社のうち、補充原則3-1③では686社(構成比98%)、同4-2②では690社(同99%)が"COMPLY"としており、ほぼ全ての企業が遵守を宣言している状況。いずれの補充原則についても、年々"COMPLY"の割合が上昇し、2025年度ではほぼすべての企業が"COMPLY"となっている。 プライム700社の98%が知財開示原則を「COMPLY」と宣言(プライム市場時価総額上位700社に対する知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告(2025年度)(第28回検討会 資料4), p.6)
- 補充原則3-1③の記載内容の評価は、◎95社(14%)、○229社(33%)、△141社(20%)、×235社(33%)。ほぼ全ての企業が"COMPLY"を宣言していながら、肝心の記載内容は不十分な状況であり、義務的開示が求められているにもかかわらず、33%が記載なし("×"評価)、20%が不十分な記載("△"評価)で、合わせて半数以上が不合格。補充原則4-2②の評価は◎45社(6%)、○28社(4%)、△35社(5%)、×592社(85%)で、記載のない企業が大宗を占め、任意開示企業は限定的である。 COMPLY宣言98%に対し、記載内容は過半数(53%)が不合格(プライム市場時価総額上位700社に対する知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告(2025年度)(第28回検討会 資料4), p.8)
- 次回のCGC改訂に関する検討が進められる中、前回改訂から約5年が経過し、知財に関する補充原則の遵守状況(Comply/Explain)だけを見るとほぼ全社が"Comply"としているものの、肝心の情報開示の状況はなお不十分な企業が過半数を占めている状況が続いている。 2021年改訂から5年、開示の中身は過半数が不十分なまま(プライム市場時価総額上位700社に対する知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告(2025年度)(第28回検討会 資料4), p.29)
- 研究開発、人材育成、ブランド構築、デジタル化対応など、将来の競争力を支える知財・無形資産への投資の多くが、会計上は販管費として処理されているため、これらが単なるコストとして評価され、企業の成長投資の実態や中長期的な価値創造への貢献が投資家に十分に伝わっていないことの問題点が指摘されている。統合報告書や有価証券報告書等における説明等を通じて、販管費に含まれる成長投資の位置付けを明確に示すことができないか検討が必要である。 成長投資が販管費に埋もれ「単なるコスト」と評価される問題(知的財産推進計画2026 ~成長戦略を支える知財戦略の推進~, p.13)
- 知的財産をはじめ多くの無形資産はバランスシートで資産として認識されず、戦略投資は当期費用として扱われる。これらの情報は戦略的要素ごとや事業領域ごとに示されず、投資家に非効率な費用と認識されるおそれがある。 無形資産の会計・開示課題(経済産業省 価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス 2.0(2022年8月30日改訂), p.39)
- バルーク・レブ氏とフェン・グー氏は、『会計の再生』の中で、「それ自身では実質的な価値を創り出すことができない物的投資や金銭投資が、貸借対照表に満額で認識されるのに(中略)、特許、ブランド、ノウハウといった自己創出される無形資産―強力な価値創造主体―が即時に費用化される。つまり、損益計算書の中で、将来ベネフィットのない経常的な費用(給与や貸借料など)として処理されていることは、なんと皮肉なことだろう。」と述べている。また、レブ氏らは、「更に不可解なのは、コカ・コーラのようにブランドを育てた場合、一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)のもとでそれは資産ではないが、そのブランドを購入した場合は、貸借対照表に誇らしげに計上されるのだ。会計によって作り出された誤った経営者のインセンティブ―育てるより買ってきた方がよい―を考えてみてほしい。」と述べ、同じ無形資産であるにもかかわらず、外部から購入してきた場合には資産計上されるのに対し、自社で創造・育成した場合には資産計上されないという、異なる扱いがされていることに疑問を呈している。 育てたブランドは資産にならず、買ったブランドは資産になる会計の非対称(知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver.2.0, p.94)
- こうした知財・無形資産の重要性が増す一方、日本企業は米国企業に比べて時価総額に占める無形資産の割合が低い。日本企業は、自社の強みとなる知財・無形資産の把握や活用が不十分であり、これが企業価値低迷の一因との指摘がある。最新の日本企業の無形資産割合は52%と2020年と比べ約20ポイント上昇した。 日本企業の無形資産割合は52%(2020年比 約+20ポイント)(知的財産推進計画2026 ~成長戦略を支える知財戦略の推進~, p.12)
- 2020年にはS&P500の構成銘柄の時価総額のうち90%を無形資産(時価総額から純有形資産を引いたもの)が占めている。日本における無形資産投資は米国、ドイツ、フランス、英国と比べて低水準であり、これらの国で右肩上がりに投資が増加しているのに対して、日本ではこの10年間でほとんど増加していない。出典:OCEAN TOMO「INTANGIBLE ASSET MARKET VALUE STUDY」(2020年)を基に作成。 S&P500の90%が無形資産、日本は投資低迷(人的資本可視化指針(改訂版), p.4)
- 無形資産投資の推移(2013年=100)を見ると、2023年時点で米国172、英国149、フランス142、ドイツ136に対し、日本は106と、この10年間でほとんど増加していない。先進各国が右肩上がりに投資を増加させている中、日本だけが停滞している。 World Intellectual Property Organization/Luiss Business School Global INTAN-Invest のデータ(2023年9月版)を基に経済産業省作成。無形資産投資の対象はソフトウェア・データベース、研究開発、鉱物探査、著作権、デザイン、金融商品等。(人的資本可視化指針(改訂版), p.4)
- 企業が保有するブランドについても、単なるマーケティング上の要素ではなく、重要な知財・無形資産の一部として明確に位置付け、経営戦略・ガバナンス・投資判断に組み込む取組を推進することが求められる。ブランドの役割や成果を市場関係者に的確に伝える開示環境を整え、知財・無形資産への投資が正しく評価される市場の実現を目指す必要がある。 ブランドを「マーケティング要素」から知財・無形資産へ格上げ(知的財産推進計画2026 ~成長戦略を支える知財戦略の推進~, p.13)
- 本ガイドラインでいう「知財・無形資産」は、「知財を始めとする無形資産」を指すが、そのスコープは、特許権、商標権、意匠権、著作権といった知財権に限られず、技術、ブランド、デザイン、コンテンツ、ソフトウエア、データ、ノウハウ、顧客ネットワーク、信頼・レピュテーション、バリューチェーン、サプライチェーン、これらを生み出す組織能力・プロセスなど、幅広い知財・無形資産を含んでいる。これは、国際統合報告の資本の分類のうち、「知的資本」「社会・関係資本」等をカバーするものである。 「知財・無形資産」のスコープにブランドは当初から含まれている(知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver.2.0, p.17)
- 食品・日用品などの業界は、他業界に比べ、ブランドへの信頼が企業価値に直結する業界であり、宣伝・品質等への投資を商標に化体させて資産化する知財活動が中心である。ブランド価値は、音、位置、立体形状など多様な商標によって保護されており、これらも知財・無形資産の対象範囲に含まれる。 食品・日用品は宣伝・品質への投資を商標に化体させて資産化する(知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver.2.0, p.76)
- 自社の競争力の源泉となる強みが形式知化されておらず暗黙知にとどまっていること、成長投資の1つである知財・無形資産への投資が将来の価値創造との関係を明確に示されないまま費用として認識されがちであること、CxO(CFO・CTO・CHRO・CIPO 等)間の役割分担や意思決定責任が整理されていないこと、知財・無形資産を中核に置いた企業経営を実行できる人材が不足していること、自社の強みを客観的に把握できる指標が整備されていないこと等が我が国企業における課題として指摘されている。 政府が挙げる5つのボトルネック(暗黙知・費用認識・CxO分担・人材・指標)(知的財産推進計画2026 ~成長戦略を支える知財戦略の推進~, p.13)
- ブランドの資産価値はバランスシートには表れないが、何もメンテナンスをしなければ減衰していくものであり、ブランド価値が毎年どの程度減衰するか評価し、その分を補い増強するための投資を行っている海外企業も存在する。他方、ブランド価値はレピュテーション・リスクと裏表の関係にあるため、レピュテーションが失われれば、ブランド価値も一気に失われることに留意する必要がある。 ブランドは放置すれば減衰する。減衰分を評価し補填投資する海外企業(知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver.2.0, p.77)
- ブランドや顧客基盤の資産価値はバランスシートに表れないが、放置すれば設備の減価償却と同様に減衰する。そのため、減衰を評価し、それを補い増強するための投資額を示す企業もある。 ブランド価値の減衰と投資(経済産業省 価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス 2.0(2022年8月30日改訂), p.42)
- 企業のブランドや顧客基盤は、過去の活動で築かれた信頼という「結果」であり無形資産である。これらを構築・強化することは重要な戦略投資である。 ブランド・顧客基盤の戦略的価値(経済産業省 価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス 2.0(2022年8月30日改訂), p.41)
- ブランドや顧客基盤の優位性確保のための投資や取り組みについて、企業がその効果を意識した戦略的目的を示し、測定・モニタリングしていることを示すことは、投資家の理解を深める上で有益である。 ブランド・顧客基盤開示の重要性(経済産業省 価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス 2.0(2022年8月30日改訂), p.42)
- 企業の中長期的な戦略投資を投資家が適切に評価するため、これらの投資の規模や内容を定量的、定性的に示すとともに、それがどのように持続的な企業価値に貢献するか、評価の指標や方法とともに伝えることが重要である。投資家から見て、これらの投資(費用)が資産として捉えられ、それぞれの回収期間等を想定して「投資収益率(Return on Investment)」の考え方が示されることは有用である。 投資家向け無形資産投資開示(経済産業省 価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス 2.0(2022年8月30日改訂), p.39)
- 成長投資(販管費内)の制度開示(IR)フレームワークとして、R&D投資・提携/M&A・ブランド・DX/生産性・人的資本の5項目を「Growth SG&A」として別建て表示し、それぞれに戦略的意図・責任CxO・投資ゲート(獲得/転換/収益)・主要KPIを対応させる案。ポイントは、販管費を一括りのコストとせず、将来の「獲得」「転換」「収益」を生む戦略的投資(Growth SG&A)として目的別に開示し、各フェーズKPIで評価・対話することにある。 販管費を「Growth SG&A」として別建て開示する委員提案(知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第28回)アジェンダに対する回答(資料6), p.13)
- 知財・無形資産の投資対象を機能別に5区分し、ブランド(市場開拓)については目的を「獲得効率の向上、信頼醸成」、責任CxOを「CBO/CEO」、KPI例を「リード獲得、指名検索、CVR、LTV」と整理する案。同じ枠組みでコア技術評価はCTO(営業利益率・シェア維持率)、非財務投資総合評価はCFO(知財ROI・回収期間)、人材はCHRO(新規テーマ創出数・事業化率)が責任を負う。 ブランド投資のKPI案=指名検索・CVR・LTV、責任者はCBO/CEO(知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第28回)アジェンダに対する回答(資料6), p.6)
- KPIと経営成果との関係を明確に説明できないことが、バトルコミュニケーションを行う上での大きな課題となっている。バトルコミュニケーションを実効的に行うためには、定量的な数字、すなわちKPIが不可欠である。数値的根拠のない議論は空中戦になってしまい、バトルコミュニケーションとして成立しない。知財・無形資産を可視化し、KPIを示した上でバトルコミュニケーションを行うという流れを確立することが、現在の最重要課題であり、これが欠如していることが現状のボトルネックとなっている。 検討会:KPIと経営成果を結べないことが最大のボトルネック(知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第29回)議事概要, p.5)
- 貝印は、DUPS³で知財を全社行動規範化し、知財部8倍増・費用6倍増を実施。「知財費用=ブランド投資」が商品の「勝ちパターン」確立につながる因果パスとして整理され、知財費用の売上比率管理、創業家=長期投資家が利益実感できる構造という財務成果に結びついている。 貝印:知財費用をブランド投資として位置づけ、売上比率で管理(【2025年度】知財・無形資産ガバナンス表彰の概要(第29回検討会 資料5), p.10)
- NECは、ブランド・デザイン戦略を「知財ガバナンス」と自覚していなかったが、CFO直下のCDsO設置やBlueStellar発信が無形資産ガバナンスそのものとして評価された。表彰制度が「外部の目」を企業に届け、自己認識の更新を促す機能を果たしている。 NEC:ブランド戦略を「知財ガバナンス」と自覚していなかった(【2025年度】知財・無形資産ガバナンス表彰の概要(第29回検討会 資料5), p.13)
- NECは、CxO別のガバナンス分担を確立しCFO主導で財務・非財務を統合。R&D投資を売上の約4%で継続し、無形資産比率80%を達成した。CFOがロジックツリーで統合開示を行い、「無形資産比率80%達成→将来CF最大化モデル」という因果パスを描いている。財務成果はPBR1倍→3倍、株価2020年比約4倍、人的資本投資 年100億円。 NEC:無形資産比率80%、PBR1倍→3倍、R&D投資は売上の約4%(【2025年度】知財・無形資産ガバナンス表彰の概要(第29回検討会 資料5), p.10)
- イトーキは知財機能を経営企画部門直下に配置し、外部(ソニー)からCCD(Chief Creative Director)をスカウトして新ブランドを創出した。Office3.0特許比率は4%から24%へ急拡大し、空間デザイナー180名・意匠登録1位という布陣で、「知財ポートフォリオ変化→事業ポートフォリオ転換」の因果パスを描く。財務成果は営業利益100億円、ROE13.8%、PBR1.7倍、従業員エンゲージメント82.5%。審査委員からは「知財→事業→収益の変化ストーリーを投資家に見せてほしい」「役員報酬とKPI連動を明言すべき」との開示改善の助言があり、同社は開示の不足を認識していなかった。 イトーキ:Office3.0特許比率4%→24%、CCD招聘で新ブランド創出(【2025年度】知財・無形資産ガバナンス表彰の概要(第29回検討会 資料5), p.10)
- アシックスは、知財戦略委員会で全社IP戦略を策定し、ROAツリーで資本効率を全社浸透。「IP戦略→ブランド価値向上→グローバル売上拡大」という因果パスを描き、IR面談1,651回/年、CAO Officeで因果の定量化に着手、ROIC10%以上目標という成果に接続している。IP戦略と経営の一体化は評価されつつも、「非財務投資→企業価値の因果関係の定量化」が次の課題として浮上している。 アシックス:IP戦略→ブランド価値→売上の因果パスと、残る定量化課題(【2025年度】知財・無形資産ガバナンス表彰の概要(第29回検討会 資料5), p.10)
- こうした状況の下、内閣府が主催する「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」においては、経営戦略として知財・無形資産をCEOが自ら説明することが重要な論点として共有されている。全社を横断的に俯瞰し得る知財部門を、事業部門・研究開発部門・経営層と密接に連携させ、戦略立案段階から主体的に関与する組織体制への改革や、機能別組織から事業に一層寄り添った組織体制への再編、知財責任者の経営層への参画等を通じ、知財・無形資産を経営の共通言語として位置付ける取組の促進等が求められている。 検討会の重要論点:知財・無形資産をCEOが自ら説明する(知的財産推進計画2026 ~成長戦略を支える知財戦略の推進~, p.12)
- 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第30回)は2026年6月26日(金)14:00~16:00にWeb開催され、配付資料として資料4「価値創造を加速する知財・無形資産経営ガイダンス(案)」が示された。内閣府サイトに掲載されているのは資料1(議事次第)および資料2(委員名簿)のみで、事務局説明資料およびガイダンス(案)本体は2026年7月29日時点で未掲載である。 ガイダンス案は第30回(6月26日)に提示。本体は未公表(知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第30回)議事次第)
- 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第31回)は2026年7月29日(水)16:00~18:00にWeb開催され、議事は事務局説明(内閣府知的財産戦略推進事務局)と質疑応答・議論である。掲載されている配付資料は資料1(議事次第)と資料2(委員名簿)で、資料3(事務局説明資料)は同日時点で未掲載である。 第31回検討会は2026年7月29日開催。事務局説明資料は未掲載(知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第31回)議事次第)
- コーポレートガバナンス・コード(CGC)の改訂において、知的財産等の無形資産への投資が明記されたことを受け、当検討会がこれまで使用してきた「知財・無形資産」という名称との整合性が取れるようになった。この名称はすでに浸透しており、変更による混乱を避ける観点からも、ガイダンスの名称を知財・無形資産のガイダンスとすることが望ましい。 CGコード改訂を受け、ガイダンス名称を「知財・無形資産」に揃える(知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第29回)議事概要, p.3)
- こうした動向を踏まえ、知財・無形資産に関する事項について、統合報告書等における自主的な開示を促すことや有価証券報告書の記載事項とすることも含め、開示の在り方を検討することが課題となっている。 有価証券報告書の記載事項化も含めて開示の在り方を検討(知的財産推進計画2026 ~成長戦略を支える知財戦略の推進~, p.14)
- 知財投資検討会では、特に、販管費として処理されている研究開発費や人材投資について、その目的、期待される効果、進捗を補足的に説明することが、長期志向の投資判断にとって有用であるとの意見があり、開示項目の整理や企業の規模・業態の多様性に配慮しつつ、実効的な開示とするための方策、好事例の横展開が求められている。 販管費の中身を「目的・効果・進捗」で補足説明する案(知的財産推進計画2026 ~成長戦略を支える知財戦略の推進~, p.14)
- これらの課題を踏まえ、内閣府は知財・無形資産ガバナンスガイドラインの再改訂を念頭に、そのボトルネックや改善策について引き続き検討を行っている。知財・無形資産ガバナンスガイドライン再改訂においては、上場企業における知財・無形資産経営戦略の推進状況について、業種別・ビジネスモデル別の実態把握と課題の構造化や、機関投資家の関心等についての調査・分析が必要である。 内閣府はガイドライン再改訂を念頭に検討継続中(知的財産推進計画2026 ~成長戦略を支える知財戦略の推進~, p.13)
- さらに、知財・無形資産ガバナンスガイドライン改訂に加えて、改訂における要素を先取りし、コーポレートガバナンス・コード改訂に合わせて、上場企業の取締役会及び経営層に、知財・無形資産の価値の本質を伝えるメッセージ等の発信についても検討を進めている。 ガイドライン改訂を待たず、CGコード改訂に合わせて先行メッセージを発信(知的財産推進計画2026 ~成長戦略を支える知財戦略の推進~, p.13)
- 改訂版の原則4-1(取締役会の役割・責務Ⅰ)は、取締役会が「会社の目指すところ(経営理念等)を確立し、それに向けた成長の道筋を構築するなど、戦略的な方向付けを行うこと」を主要な役割・責務とし、経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては「成長投資(設備・研究開発・人的資本・知的財産等の無形資産への投資等)や事業ポートフォリオの見直し等の経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて説明を行うべきである」と規定した。人的資本は成長投資の構成要素として原則本文に明記されている。 原則4-1: 人的資本を含む成長投資の実行内容の説明責務(コーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版), p.18)
- 金融庁・東証の公表文書は、改訂版コードが取締役会の役割・責務として明記した成長投資等の取組みを、①会社の目指すところに向けた成長の道筋を構築すべきこと、②成長の実現に向けて成長投資(設備・研究開発・人的資本・知的財産等の無形資産への投資等)や事業ポートフォリオの見直し等の経営資源の配分に関し具体的に何を実行するのかを説明すべきこと、③自社の経営資源の配分が経営戦略や経営計画に照らし適切なものとなっているか不断に検証を行うべきこと、の3点に整理している。キャピタルアロケーションの開示による資本配分の説明のほか、ヒト・モノ・カネ等の経営資源の配分についての説明が重要とした。 成長投資の3責務: 道筋構築・実行内容の説明・不断の検証(成長投資の促進に向けたコーポレートガバナンス・コードの改訂について, p.2)
- 改訂原則4-1の解釈指針では、投資先の検討として「(i)投資対象を自社の内部に求めるのか(設備・研究開発・人的資本・知的財産等の無形資産への投資等)、外部に求めるのか(M&A・業務提携・スタートアップ出資への投資等)といった観点、(ii)短期・中長期といった観点、(iii)国内投資(地方への人的投資・地方拠点の整備等)、国外投資といった観点」等の多様な投資機会があることを十分に認識すべきとした。知的財産等の無形資産への投資については競争力や企業価値向上の源泉であることを踏まえ、その創出・取得・強化・保護・収益化に戦略的に取り組むべきとした。 成長投資の3つの観点:内部/外部、短期/中長期、国内/国外。無形資産の戦略的管理(コーポレートガバナンス・コード(改訂案), p.17)
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