2026年度で終わるリスキリング支援、その最後に加わった新類型の意味
2026-04-22
事業展開等リスキリング支援コースが最終年度に追加した「人事・人材育成計画型」は、社内の配置転換まで助成対象に広げた一方、計画要件には『不利益取扱の禁止』が明記された。最大75%助成の制度設計を、可視化指針・DSSv2.0との接続から読む
事業展開/DX・GX化/人事・人材育成計画
厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年4月8日版」
1. 令和4年から続いた期間限定助成金、令和8年度が最終年度
人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」は、令和4年〜8年度の期間限定の助成金として創設されたものである。令和8年度(2026年4月〜2027年3月)が最終年度にあたる。同コースは、新規事業の立ち上げなどに伴い新たな知識・技能を労働者に習得させる訓練を実施した事業主に対し、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度として運用されてきた。
この期間限定助成金が位置付けられた政策の流れは、2021年に提起された「新しい資本主義」のコンセプトに遡る。2022年6月の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」で「人への投資」が成長戦略の柱として明示された。事業展開等リスキリング支援コースは、その「5年で1兆円」と銘打たれた人への投資パッケージの中核を成す制度の一つである。
最終年度の助成水準は据え置かれ、他コースを上回る高率設計になっている。
助成率と限度額(令和8年度)
| 項目 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 75% | 60% |
| 賃金助成額(1人1時間) | 1,000円 | 500円 |
| 設備投資加算(中小のみ) | 導入費用の50% | 対象外 |
| 1事業所1年度上限 | 1億円 | 1億円 |
| 受講者1人 200時間以上 | 50万円 | 30万円 |
| 受講者1人 100時間以上200時間未満 | 40万円 | 25万円 |
| 受講者1人 10時間以上100時間未満 | 30万円 | 20万円 |
経費助成率は中小75%・大企業60%、賃金助成は中小1,000円/h・大企業500円/hで設定され、設備投資加算は中小のみ導入費用の50%が支給される。受講者1人あたりの経費助成限度額は訓練時間で3段階に分かれ、200時間以上の長時間研修では中小50万円・大企業30万円まで支給される。1事業所が1年度に受給できる上限は1億円である。
eラーニング・通信制・同時双方向型の遠隔訓練は経費助成のみが対象となり、上限は中小15万円・大企業10万円。サブスクリプション型の定額制サービスによる訓練は、企業規模を問わず受講者1人あたり1月2万円が経費助成の上限となる。実技訓練と同時に機器を導入した場合の設備投資加算は1人15万円、10人以上の場合は150万円が上限となる。
2. 令和8年3月2日改訂、新たに加わった「人事・人材育成計画型」
令和8年3月2日付の支給要領で、対象訓練の類型に新たな項目が加わった。従来の①事業展開、②DX・GX化に加え、③企業内の人事及び人材育成に関する計画型が新たに加わった。直前版である令和7年4月1日付支給要領には当該類型に関する記述が一切なく、3月2日付改訂で初めて明文化されたことが一次ソース突合で確認できる。
対象訓練の3類型 ─ 何が新しいか
| 類型 | 対象訓練の性格 | 典型例 |
|---|---|---|
| i 事業展開 | 新製品・新サービス・新分野進出に伴う知識習得(3年以内予定 or 6か月以内実施) | 運送業者が福祉タクシーに参入し普通二種免許取得 |
| ii DX・GX化 | 業務のDX化・カーボンニュートラル化に関連する知識習得 | 建設業がドローン・BIMを活用した測量に参入 |
| iii 人事・人材育成計画 (NEW) | 中長期経営戦略に基づく社内配置転換のための異職種スキル習得 | 製造業が機械加工担当を品質管理部門へ配置転換 |
i事業展開は、新たな製品・商品・サービスの提供等により新分野に進出することと定義され、事業転換や既存事業の製造方法・提供方法変更も含まれる。時間軸は訓練開始日から3年以内に実施予定または6か月以内に実施したものに限定される。
ii DX・GX化は、デジタル技術を活用した業務効率化やビジネスモデル変革(経産省デジタルガバナンス・コードに整合する定義)と、温室効果ガス排出を全体としてゼロにするためのプロセス変革が対象である。
新類型のiii人事・人材育成計画型は、生産性向上と事業の持続的発展を図るため中長期的な経営戦略を策定し、これに基づき必要となる労働者の職務・職種・人員構成・配置基準といった人事方針を定め、必要な知識・技能と人材育成の対象労働者範囲・実施方法・時期を体系的に定めた計画に基づく訓練と定義される。つまり「新事業」も「DX」も伴わない、純粋に社内の配置転換・キャリア開発のための訓練が初めて助成対象に加わったことになる。
ただしiii類型には固有の制約が課される。訓練開始日時点で従事している職務とは異なる職務に関連する知識・技能の習得が要件となり、職務の違いは令和4年改訂「厚生労働省編職業分類」の小分類で判定される。「現職スキルアップ」ではなく「配置転換のためのリスキリング」に限定される設計である。
3. 三重の歯止め ─ なぜ新類型に厳しい要件が課されたか
iii類型の運用には、他類型にはない3つの制約が組み込まれている。認定経営革新等支援機関による事前確認、労働者本人の承諾書取得、訓練後の職務従事と賃金維持の3点である。
第一に、中小企業がiii類型を利用する場合、職業訓練実施計画届・事業展開等実施計画・人事及び人材育成に関する計画・訓練カリキュラム等を、中小企業庁長官が認定する経営革新等支援機関に提出し、計画内容の事前確認を受ける必要がある。第三者による客観性の担保が義務化された。
第二に、事業主は訓練実施に当たって、受講予定の労働者に対し計画内容と訓練の目的・趣旨を説明・確認し、業務命令により訓練を受講することについて承諾書を取得する必要がある。一方的な「リスキリング命令」を制度的に防ぐ条項である。
第三に、訓練終了後は対象労働者全員を計画で予定していた職務に従事させる必要があり、合理的理由なく従事させていない場合、または賃金・手当が合理的理由なく引き下げられている場合は不支給決定または支給決定取消となる。労働局への実施状況報告書の提出も義務付けられる。
これらの背後にあるのが、計画策定段階での労働者保護要件である。
第5要件の文言は、リスキリング助成金が「事業主側に都合のよい配置転換ツール」として運用されることを排除する明示的な条項である。「生産性向上を名目とした人員削減」「退職に追い込むための不適切な職務変更」「処遇を引き下げることが前提の配置転換」が具体例として列挙されている点が、労働者保護の射程を広く取っていることを示す。
人材版伊藤レポート(2020・2022)が示す人材戦略の3つの視点は「経営戦略と人材戦略の連動」「As is-To beギャップの定量把握」「企業文化への定着」である。iii類型の計画要件は、このギャップ定量把握とキャリアアップ設計を、不利益取扱の禁止と一体で求める構造になっている。
4. DSSv2.0・マナビDXとの接続 ─ ii類型の実装基盤
ii DX・GX化類型は、デジタルスキル標準ver.2.0(DSSv2.0)と密接に連動している。DSSv2.0は2026年4月16日に経産省・IPAが公表したスキル標準で、リスキリングの促進、DX人材育成の指針となることなどを目的としている。
リスキリング支援コースの講師要件には、当該課程により取得を目標とするITSSレベル3・4(IPA「ITスキル標準」のレベル区分)及びDSS-Pレベル3・4(DSS「DX推進スキル標準」のレベル区分)の資格取得者であることが認められると明記されている。IPAが整備するITSSとDSSv2.0が定義するDSS-Pの両方が、本助成金の講師要件として直接参照される構造である。経産省・IPAのデジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」では、DX推進スキル標準と紐づけられた学習コンテンツが提供されており、本助成金の対象訓練の幅を広げる外部基盤として機能する。
ただしリスキリング支援コースの対象訓練には明確な除外規定がある。単にデジタル機器を使用して文章・数値の入力や書式・レイアウトの変更程度の初歩的な操作を行う訓練、既存アプリやシステムを購入してその操作方法を習得する訓練、コンサルタントによる指導は対象外である。10時間以上のOFF-JTという最低訓練時間要件も含め、**「専門的な知識及び技能」**に絞り込む設計が一貫している。
人的資本可視化指針が示す指標体系の中でも、リスキリング・学び直しは中核的な要素として位置付けられている。可視化指針は「目指すべき将来と現在との間のスキルギャップを埋めていくためのリスキル・学び直し」を共通要素として明示しており、本助成金はそのギャップ充足のための財政的バックアップに当たる。
5. 制度を使う側の手続き構造
事業主側で本助成金を活用するには、対象事業主としての7要件を満たす必要がある。雇用保険適用、事業内職業能力開発計画の策定と労働者周知、職業能力開発推進者の選任、訓練期間中の賃金適正支払、書類5年間保存、審査協力、事業展開等実施計画の作成の7点である。事業内職業能力開発計画の策定と推進者選任が必須要件として制度的に組み込まれている点が、計画的人材育成を担保する設計の核心といえる。
申請手続きは3ステップで構成される。
申請手続きの3ステップ
| ステップ | 内容 | 期限 |
|---|---|---|
| Step 1 計画提出 | 事業内職業能力開発計画に基づき職業訓練実施計画を作成し管轄労働局へ提出 | 訓練開始日の6か月前~1か月前 |
| Step 2 訓練実施 | 計画に基づき訓練を実施、支給申請までに訓練経費全額を支払う | 計画通り |
| Step 3 支給申請 | 必要書類を管轄労働局に申請 | 訓練終了日の翌日から2か月以内 |
事後的な申請は受け付けられず、訓練開始の最大6か月前から最遅1か月前までに計画届を提出する必要がある。事前計画の作り込みが受給の前提となる設計である。iii類型ではStep 3の支給申請に加え、企業内の人事及び人材育成に関する計画の実施状況報告書を労働局に提出する義務が追加される。
6. 最終年度の向こう ─ 制度終了後にどう繋げるか
経済産業省の「2040年の就業構造推計(改訂版)」は、人口減少が進む2040年に十分な国内投資や産業構造転換が実現する場合、就業者数は減少するが「AI・ロボット等の利活用やリスキリング等による労働の質の向上」によって全体で大きな労働需給の不足は生じないとする一方、職種間・学歴間でのミスマッチ発生可能性を留保している。世界経済フォーラムは2022年までに全従業員の半数以上(54%)が大幅なリスキリングを必要とするとの見通しを示しており、リスキリング需要は構造的なものとして継続する。
制度面でも、ジョブ型人事の導入拡大に向けた政府の動きは継続している。内閣官房・経済産業省・厚生労働省は「ジョブ型人事指針」を公表し、20社の導入事例を制度の導入目的・経営戦略上の位置付け等で整理している。iii人事・人材育成計画型がジョブ型人事との接続を意識した設計になっていることがうかがえる。
事業展開等リスキリング支援コースが令和8年度で終了した後、「人材開発支援助成金」の他コース(人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース等)への移行や、雇用保険法改正で2025年10月にスタートした教育訓練休暇給付金との組み合わせ運用が、企業実務上の論点として残る。最終年度の運用判断は、単なる「使い切り」ではなく、自社の人材戦略をiii類型の計画要件と整合させた形で再設計する機会として捉えることが、制度終了後を見据えた合理的な選択になる。
▶出典(29件)
- 令和4-8年度の期間限定助成金(2026年度が最終年度)(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.1)
- 経費助成 中小75%/大60%、賃金助成 中小1,000円/大500円・1h(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.1)
- 1人あたり経費助成限度額(訓練時間×企業規模で決定)(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.1)
- 1事業所1年度あたり助成上限は1億円(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.1)
- eラーニング等の経費助成上限 中小15万/大10万(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.1)
- 定額制サービス:1人月額2万円上限(企業規模一律)(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.1)
- 設備投資加算 1人15万円・10人以上150万円(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.1)
- 対象訓練3類型の原文(令和8年3月2日支給要領 0306ヘ)(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)支給要領(令和8年3月2日版), p.8)
- 直前版R7.4.1支給要領 0306ヘ:2類型のみ(iii類型は不存在)(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)支給要領(令和7年4月1日版・直前版), p.8)
- 令和8年3月2日支給要領 0100趣旨段落(人事計画型を初めて含めた版)(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)支給要領(令和8年3月2日版), p.2)
- i事業展開:新分野進出・事業/業種転換・製造/提供方法変更(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.13)
- ii DX/GX化の定義:競争優位確立・温室効果ガス全体ゼロ(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.13)
- iii 人事・人材育成計画型は社内配置転換も助成対象に(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.14)
- iii訓練は現職務と異なる職務向け(職業分類小分類で判定)(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.13)
- 中小はiii利用時に認定経営革新等支援機関の事前確認必須(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.15)
- iii訓練は労働者本人の承諾書取得が必須(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.15)
- iii訓練後の職務従事と賃金維持が支給要件(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.15)
- iiiは訓練後の人事配置を労働局に報告する義務(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.15)
- iii 計画策定5要件(5番目は労働者保護)(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.14)
- 人材版伊藤レポートの3P5Fモデル(人材版伊藤レポート2.0)
- DSSの狙いはリスキリング・学びの場・スキル可視化(デジタルスキル標準 ver.2.0, p.54)
- 講師要件にITSSレベル3-4・DSS-Pレベル3-4を明記(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.18)
- マナビDXと紐づけ、個人のスキル可視化基盤も構築中(デジタルスキル標準 ver.2.0)
- 対象外:基礎的PC操作・既存ツール操作・コンサル指導(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.12)
- 訓練要件:10時間以上のOFF-JTで職務関連(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.1)
- 対象事業主の7要件(雇用保険・能力開発計画・推進者選任など)(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.16)
- 手続きは3ステップ(計画→実施→申請)(人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版, p.2)
- 2022年就業者数6706万人→2040年労働需要6303万人(約200万人はAI・ロボット等で代替)
- 2024年8月公表(ジョブ型人事指針)
使用データ一覧
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
令和4-8年度の期間限定助成金(2026年度が最終年度) | 2026年 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は、令和4年〜8年度の期間限定の助成金として創設された。新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い、事業主が雇用する労働者に対して新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度である。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.1 |
対象訓練3類型の原文(令和8年3月2日支給要領 0306ヘ) | 2026年 | ヘ 次のいずれかを内容とする訓練等であること。(イ) 事業主において0200 ラの事業展開(訓練開始日(定額制サービスによる訓練の場合は契約期間の初日)から起算をして、3年以内に実施する予定のもの又は6か月前までに実施したものに限る。)を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練等(ロ) 事業主において企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるにあたり、これに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練等(ハ) 企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づき、支給対象労働者が今後従事することが予定される職務(訓練開始日から起算をして、3年以内に従事することが予定される職務に限る。また、申請事業主と異なる事業主に雇用されることが前提とされる職務は除く。)に必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練等 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)支給要領(令和8年3月2日版) p.8 |
直前版R7.4.1支給要領 0306ヘ:2類型のみ(iii類型は不存在) | 2025年 | 令和7年4月1日付の支給要領(直前版)では、対象訓練として(イ)事業展開・(ロ)DX/グリーン・カーボンニュートラル化の2類型のみが定義されており、人事及び人材育成に関する計画に基づく訓練(iii類型)は存在しなかった。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)支給要領(令和7年4月1日版・直前版) p.8 |
令和8年3月2日支給要領 0100趣旨段落(人事計画型を初めて含めた版) | 2026年 | 事業展開等リスキリング支援コースでは、企業が持続的発展をしていくため、既存事業にとらわれず新規事業の立ち上げなどの事業展開に取り組み、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練等を実施するほか、企業内において業務の効率化や脱炭素化などを図るため、デジタルやグリーン分野の技術を有効に活用することができる人材を育成するための訓練等、企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づき、労働者が今後従事することが予定される職務に関連する知識及び技能を習得させるための訓練等(以下「事業展開等に伴う訓練等」という。)を実施する事業主に対して助成を行うことにより、事業主によるリスキリングの実施を促し、もって企業内における労働者のキャリア形成を効果的に促進するとともに、企業の生産性の向上に資する。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)支給要領(令和8年3月2日版) p.2 |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
経費助成 中小75%/大60%、賃金助成 中小1,000円/大500円・1h | 2026年 | 経費助成率は中小企業75%・大企業60%。賃金助成額は1人1時間当たり中小企業1,000円・大企業500円。設備投資加算は1コース1の導入費用あたり中小企業50%(大企業は対象外)。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.1 |
1人あたり経費助成限度額(訓練時間×企業規模で決定) | 2026年 | 受講者1人あたりの経費助成限度額は、訓練時間10時間以上100時間未満で中小企業30万円・大企業20万円、100時間以上200時間未満で中小企業40万円・大企業25万円、200時間以上で中小企業50万円・大企業30万円。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.1 |
1事業所1年度あたり助成上限は1億円 | 2026年 | 1事業所が1年度に受給できる助成金は1億円が上限。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.1 |
eラーニング等の経費助成上限 中小15万/大10万 | 2026年 | eラーニング、通信制、同時双方向型の通信制による訓練については、企業規模に応じて中小企業の場合は受講者1人あたり15万円、大企業の場合は10万円が経費助成限度額となる。賃金助成は対象外。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.1 |
定額制サービス:1人月額2万円上限(企業規模一律) | 2026年 | 定額制サービスによる訓練の経費助成限度額は、受講者1人あたり1月2万円である(企業規模を問わず一律)。賃金助成は対象外。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.1 |
設備投資加算 1人15万円・10人以上150万円 | 2026年 | 事業所に事業展開促進機器等(実技訓練等で実際に使用する機器・設備等と同種であって、事業展開等に資する機器・設備等)を導入した場合は、通常分の支給申請とは別途、設備投資加算を支給申請できる。設備投資加算の限度額は、支給対象労働者1人につき15万円、10人以上の場合は支給対象労働者数にかかわらず150万円となる。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.1 |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
i事業展開:新分野進出・事業/業種転換・製造/提供方法変更 | 2026年 | 「事業展開」とは、新たな製品を製造し又は新たな商品もしくはサービスを提供すること等により、新たな分野に進出することをいう。事業や業種を転換することや、既存事業の中で製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を変更する場合も事業展開にあたる。事業展開は訓練開始日から起算して、3年以内に実施する予定のものまたは6か月以内に実施したものに限る。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.13 |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
ii DX/GX化の定義:競争優位確立・温室効果ガス全体ゼロ | 2026年 | 「デジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは、ビジネス環境の激しい変化に対応し、デジタル技術を活用して、業務の効率化を図ることや、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。「グリーン・カーボンニュートラル化」とは、徹底した省エネ、再生可能エネルギーの活用等により、CO2等の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.13 |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
iii 人事・人材育成計画型は社内配置転換も助成対象に | 2026年 | 「企業内の人事及び人材育成に関する計画」とは、生産性の向上及び事業の持続的な発展を図るため、中長期的な経営戦略を策定し、これに基づき今後必要となる労働者の職務、職種、人員構成及び配置基準といった人事に係る方針を定め、当該方針に沿って、労働者に必要となる知識及び技能、人材育成の対象労働者の範囲、教育訓練の実施方法及び時期を体系的に定めた計画を作成すること。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.14 |
iii訓練は現職務と異なる職務向け(職業分類小分類で判定) | 2026年 | iii類型の訓練については、訓練開始日時点で対象労働者が従事している職務とは異なる職務に関連する知識及び技能を習得させるための訓練である必要がある。訓練開始日時点で従事している職務と異なる職務に当たるかは令和4年改訂「厚生労働省編職業分類」の小分類(大分類01管理的職業は除く)により判断する。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.13 |
中小はiii利用時に認定経営革新等支援機関の事前確認必須 | 2026年 | 中小企業の場合、企業内の人事及び人材育成に関する計画について、職業訓練実施計画届・事業展開等実施計画・人事及び人材育成に関する計画・訓練カリキュラム等の資料を、認定経営革新等支援機関(中小企業庁長官の認定機関)に提出し、事前に計画内容の確認を受ける必要がある。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.15 |
iii訓練は労働者本人の承諾書取得が必須 | 2026年 | iii類型では事業主は、訓練を実施するに当たって、訓練を受講する予定の労働者に対して、企業内の人事及び人材育成に関する計画の内容及び訓練を受講する目的・趣旨を説明・確認し、事業主の業務命令により当該訓練を受講することについて承諾書を取得する必要がある。中小企業の場合は、認定経営革新等支援機関の確認を受けた計画により、訓練を受講する予定の労働者に説明・確認を行う。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.15 |
iii訓練後の職務従事と賃金維持が支給要件 | 2026年 | iii類型では、訓練終了後、企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づき、全て支給対象労働者を計画において今後従事することを予定していた職務に従事させた上で、計画の実施状況を労働局に報告する必要がある。合理的な理由がなく対象労働者を予定していた職務に従事させていない場合は不支給決定または支給決定取消となる。今後従事することを予定していた職務に従事することとなった前後で、賃金や手当が合理的な理由がなく引き下げられている場合も不支給決定または支給決定取消となる。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.15 |
iii 計画策定5要件(5番目は労働者保護) | 2026年 | 「企業内の人事及び人材育成に関する計画」の策定に当たっては、以下の要件を満たすものとする。①生産性の向上や事業の持続的な発展に結びつく人材像、人事配置及び訓練内容になっていること。②現状の課題や将来の事業規模、業務量予測に基づき今後必要となる労働者の職務、職種、人員構成及び配置基準を整理した上で、実際に配置が見込まれる対象労働者の範囲を定めていること。③今後従事することが予定される職務における段階的なキャリアアップが示されていること。④訓練効果を測ることができる生産性向上やスキル習得等の指標を設定されていること。⑤生産性向上を名目とした人員削減、労働者の意向を考慮しない人事配置、退職に追い込むための不適切な職務変更、処遇を引き下げることが前提の配置転換等、労働者の不利益につながるような内容になっていないこと。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.14 |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
|---|---|---|---|
iiiは訓練後の人事配置を労働局に報告する義務 | 2026年 | iii類型については、訓練終了後、申請事業主は「企業内の人事及び人材育成に関する計画の実施状況報告書」(様式第23号)と、今後従事することを予定していた職務に支給対象労働者が従事したこと、また従事することとなった日が分かる雇用契約書又は労働条件通知書の写し等を労働局に提出する必要がある。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.15 |
手続きは3ステップ(計画→実施→申請) | 2026年 | 助成金受給の手続きは3ステップ。Step1計画提出:事業内職業能力開発計画に基づき職業訓練実施計画を作成し、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に管轄労働局に提出する。Step2訓練実施:職業訓練実施計画に基づき訓練を実施し、支給申請までに訓練にかかった経費全額を支払う。Step3支給申請:訓練終了日の翌日から2か月以内に必要書類を管轄労働局に申請する。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.2 |
| コンテキスト | 年度 | 値 | 出典 |
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人材版伊藤レポートの3P5Fモデル | 2022年 | 人材版伊藤レポート(2020年)・2.0(2022年):経済産業省が策定した人的資本経営の実践指針。3つの視点(3P):①経営戦略と人材戦略の連動 ②As is-To beギャップの定量把握 ③企業文化への定着。5つの共通要素(5F):①動的な人材ポートフォリオ ②知・経験のD&I ③リスキル・学び直し ④従業員エンゲージメント ⑤時間や場所にとらわれない働き方。 | 人材版伊藤レポート2.0 |
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DSSの狙いはリスキリング・学びの場・スキル可視化 | 2026年 | DX推進スキル標準策定のねらいは、DXを推進する人材の役割や習得すべき知識・スキルを示し、それらを育成の仕組みに結び付けることで、(1)リスキリングの促進、(2)実践的な学びの場の創出、(3)スキルの見える化を実現することである。 | デジタルスキル標準 ver.2.0 p.54 |
マナビDXと紐づけ、個人のスキル可視化基盤も構築中 | 2026年 | 経産省・IPAはデジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」において、研修事業者等が提供する学習コンテンツと「DX推進スキル標準」を紐づけて可視化している。さらにIPAは個人が持つスキル情報を蓄積・可視化する「デジタル人材スキルプラットフォーム」の構築を進めている。 | デジタルスキル標準 ver.2.0 |
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講師要件にITSSレベル3-4・DSS-Pレベル3-4を明記 | 2026年 | 事業内訓練を行う講師の支給要件として、当該課程により取得を目標とするITSSレベル3・4及びDSS-Pレベル3・4の資格取得者であることが認められる。これに加え、職業訓練指導員免許保有者、当該職種に係る1級技能検定合格者、当該分野の指導員・講師経験3年以上、当該分野の実務経験10年以上のいずれかが要件となる。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.18 |
対象外:基礎的PC操作・既存ツール操作・コンサル指導 | 2026年 | 単にデジタル機器を使用して文章・数値の入力や、書式・レイアウトの変更程度の初歩的な操作を行う内容のみの訓練は対象にならない。また、単に既存のアプリやシステムを購入してその操作方法を習得する場合や、コンサルタントによる指導は対象にならない。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.12 |
訓練要件:10時間以上のOFF-JTで職務関連 | 2026年 | 対象となる訓練は、訓練時間数が10時間以上であることが必要。OFF-JT(企業の事業活動と区別して業務の遂行の過程外で行われる訓練)であることが要件で、職務に関連した訓練でi/ii/iiiのいずれかに該当する必要がある。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.1 |
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対象事業主の7要件(雇用保険・能力開発計画・推進者選任など) | 2026年 | 支給対象事業主は次の全ての要件を満たす必要がある。①雇用保険適用事業所の事業主であること。②労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画およびこれに基づく職業訓練実施計画届を作成し、その計画の内容を労働者に周知していること。③職業能力開発推進者を選任していること。④従業員に職業訓練等を受けさせる期間中も、当該従業員に対して賃金を適正に支払っていること。⑤助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要な書類等を整備、5年間保存している事業主であること。⑥審査に協力する事業主であること。⑦事業展開等実施計画(様式第1-3号)を作成する事業主であること。 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年度版 p.16 |
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2022年就業者数6706万人→2040年労働需要6303万人(約200万人はAI・ロボット等で代替) | 2026年 | 経済産業省が試算した「2040年の就業構造推計(改訂版)」によれば、2040年に十分な国内投資や産業構造転換が実現する場合、人口減少により就業者数は減少するが、AI・ロボット等の利活用やリスキリング等による労働の質の向上により、全体で大きな不足は生じないとされている。一方、職種間、学歴間によって需給のミスマッチが発生する可能性がある。 | - |
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2024年8月公表 | 2024年 | ジョブ型人事の導入拡大に向けて、内閣官房・経済産業省・厚生労働省が「ジョブ型人事指針」を公表。既に20社の導入事例について、制度の導入目的、経営戦略上の位置付け、導入範囲、等級制度、報酬制度、評価制度の骨格、採用、人事異動、キャリア自律支援、雇用管理制度等の詳細を情報提供。 | ジョブ型人事指針 |
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